二十四 対面
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が。
自身の身に起きた不可解な現象を、神農はようやく解明出来た。ナルトの思惑通り事が運んでしまった。その事実が非常に腹立たしい。
「まだだ…!」
僅かに残された体力を振り絞る。石柱を支えに、彼はよろよろと立ち上がった。無線機同様、なんらかの紋様を押すと、壁に埋め込まれた蓋が自動的に開く。その中にあるレバーに手を掛け、神農はにいっと口角を上げた。
「まだ、何も終わってはいない…ッ!!」
高らかに叫ぶ。同時に彼の足下がぱかりと口を開いた。突如として床の一部が抜けたのだ。
「ハーハハハハッ……」
落下しながら神農は哄笑する。その高笑いの反響は広間中に跳ね返り、やがて尾を曳いて消えていった。
ナルトと香燐が急いで駆け寄る。だが既に神農が落ちていった穴の扉はぴたりと塞がれ、普通の床に戻っていた。神農が消えていった地点を目の端に捉えつつ、香燐はナルトの様子を窺う。
「香燐。神農の居場所は解るか?」
足下を見下ろしながらナルトが訊いた。その言葉の意味を一瞬理解出来ず、香燐は彼の顔をまじまじと見つめた。返事が無いことに訝しんだのか視線を投げてきたナルトに、慌てて「あ、ああ」と答える。
「じゃあ、行こうか」
そう言うなり広間の出口へと向かうナルト。それを追い駆けながら、彼の背中に向かって香燐は尋ねた。
「何しに行くんだ?」
彼女の問いに、ナルトは肩越しに振り返った。そして微笑する。
「決着をつけに」
鉛のように重い手足を引き摺り、神農は要塞の中枢へ向かっていた。荒い息を吐き、空を仰ぐ。案の定追い駆けてきたナルトと香燐の姿に、彼はにやりと笑みを浮かべた。
「のこのこついて来おって…。この馬鹿者どもめ!!」
してやったり、といった表情をする神農。だが香燐は神農よりも、目前のソレから目が離せなかった。
数多の術式が施された石盤。その石盤に蜘蛛の糸の如く、何十本もの細い糸が絡みついている。その繋がれた先にある、巨大な繭。
…………ドクン……ドクン……ドクン……ドクン
そして、心臓の鼓動らしい音。
生命の音を確かに耳にした香燐は、呆然とソレを見上げ息を呑んだ。
半透明であるため、繭の中は透けて見える。さながら胎児のように丸まっているその何かは、先ほど香燐に憑依し、彼女の精神を脅かした――――零尾、そのものだった。
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