二十四 対面
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居丈高にそう叫ぶと、下腹に力を入れる。闇のチャクラを纏おうと躍起になる彼を、ナルトはただじっと見つめていた。その眼差しがどこか憐れんでいるように感じ、神農は益々いきり立つ。【肉体活性の術】における自然治癒。更に強靭な肉体へと変化しようと試みる。
「……ッ!!」
刹那、神農は顔を強張らせた。
先ほど以上の痛みが、全身、いや全神経の末端に至るまで駆け廻る。がくがくと揺れる膝に、乱れる呼吸。激しく波打つ心臓の音が彼の耳朶を大きく打つ。あまりの激痛に、神農はその場に崩れ落ちた。
彼を警戒していた香燐がギクリと後ずさる。次に起こった出来事を目の当たりにし、彼女は慄然とした。
眼前に展開される悪夢の如き一場面。あまりにもおぞましい現象に、思わず目を覆う。
神農の、張りのあった瑞々しい肌。そこに刻まれる幾重もの皺に、深く落ち窪んだ双眸。ふさふさと波打っていた黒髪はごっそり抜け落ち、残ったのは僅かな白髪。露出した上半身は皺に覆われ、老醜を曝け出していた。
あの鍛え抜かれた若々しい肉体など見る影も無い。そこにいるのは醜く朽ち果てた、か弱い老人の姿。そして紛れもなく、神農の哀れな末路であった。
変わり果てた己の身体を、信じられないとばかりに見下ろす神農。力なく瞳を瞬かせ、何度も確認する。だが自身の体力の衰えがはっきりと彼に事実を突きつけていた。
「な、にをし…た……ッ?」
乾き切った唇から漏らした声すらも酷く擦れている。それが非常に歯痒く、神農はぐっと下唇を噛み締めた。翳んだ視野に浮かぶナルトの全身をはっきり捉えようと目を凝らす。
「だから言ったのに…」
辛うじて聞き取れたナルトの微かな声を耳にし、弱々しく顔を上げる。途端、波のように襲い来る吐き気。額に大粒の玉の汗を流して顔を歪める神農を、香燐はおそるおそる窺った。
チャクラが乱れている。それどころか完全に堰き止められている経絡系。点穴を突かれている証拠だ。
次いで彼女はナルトと神農、そして部屋の中央に視線を這わす。床の中心に施された円環を目にして、はっと息を呑んだ。
(まさか…。【表蓮華】も鋼糸も狙いは…ッ、)
ナルトに目を向ける。彼女の視線に気がついたナルトは笑みを返した。それが答えだった。
ナルトが最初に仕掛けたのは【表蓮華】。だがその狙いは神農ではなく、床に施された円環にあった。
闇のチャクラを己のチャクラに変換する。零尾から石盤へ、そして神農へチャクラを送り込む――媒介のようなモノ。
そのための術式が必ずどこかにあるはずだと彼は踏んでいた。そのため、床に施された如何にも妖しい円環を注視する。
案の定、神農が闇のチャクラをその身に纏うたび、円環の縁に刻まれた特殊な紋様が光り輝いていた。装飾に見せ掛けているそれら紋様
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