暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
朝陽
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者もいた。
しかし、それら全てをレンは《喰らった》。無表情に、無感情に、差し出された首を刈り取った。
最近では《冥王》などと呼ばれる始末。
そんな者が《一般人》と関わったら、絶対にロクなことにはならない。ただでさえ、自分は他人から恨み辛みを抱かれやすい立場にあるのだ。
下手にレンの近くにいたら、攫われて見せしめに殺されても文句は言えない。
だから、レンは言う。
唐突に、言う。
「じゃあね」
「え?」
首を傾げる青髪の女性に微笑を投げ掛け、レンは立ち上がる。きびすを返し、ドアのほうに真っ直ぐに向かおうとする腕を、掴む手があった。
「………なに?」
振り向かず、レンは問う。眼を合わせたら、ここに残りたいと思ってしまうだろうから。このひと時をもっと味わいたいと思ってしまうだろうから。
それに、矢車草の名を持つ女性は言う。いつものように、へらへらと笑いながら。
しかし、その眼は全く笑っていない。こちらの心の奥底を貫くような、そんな眼だった。
「……もっと、さ。気楽に生きたら?」
「…………………ッ!ヘラヘラ笑うな!」
言うだけ言い、レンは掴まれた手を撥ね退けるように弾き飛ばし、ドアをこじ開けた。
「レン君!」
後ろから名前を呼ばれるが、もうレンは振り返らなかった。
しかし、ドアが閉じられる瞬間、空気を震わせて伝わってきた一言は確実に鼓膜を振るわせられた。
「………またね」
そう言うリータの目の前で、まるで何かの先刻のように、木製のドアが閉じられた。
リータは追いかけなかった。
追いかけても、もはや彼を捉えることなど不可能だと、分かっていたから。
ふと、投げ出された己の手を持ち上げ、その指先を見る。
震えていた。
カタカタ、カタカタ、と止めようとしてもまるで止めることなどできなかった。
それを胸の前で抱きしめながら、リータは口を開く。その言葉を聞く者など、もう部屋には誰もいないと分かっているのに、それでも口を開く。
「…………また、ね」
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