暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
朝陽
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を傾げる。ハテ?

「HPバー見てみなよ。自分の」

どことなく面映そうなその声に釣られるように、レンは己の視界の右上に浮かぶHPバーに眼をやった。

「あっ!!」

そこには、『Renhoh』と記された自分のHPバーが浮かび、驚くべき事はそのすぐ下に『Reate』と書かれた小さなHPバーが出現していることだった。

混乱しかけた頭の中の、冷静な部分が状況を冷静に捉える。

システム上、他人のHP残量を確認する手段は二つだ。

一つは、プレイヤー間の財布とストレージのシステム的共通化。つまるところの《結婚》である。これは双方合意の上で成り立つ関係で、相手の現在位置、残金、アイテムストレージに至るまでの全ての情報を確認することができるようになる。

そして二つ目が――――

「い、いつパーティー合否ボタンを押したんだ………」

他プレイヤーとのパーティー結成時にである。これは《結婚》ほどの重要度はなく、HP確認も単に狩りをするときにあったら便利なので配置されているものだ。その分手順も簡素なものとなっており、自分、もしくは他プレイヤーから発信されたリクエストを受諾するだけである。そして、解散するときも合意などは必要なく、自分一人ででもとっとと辞めることができる。

プルプル震えるレンに、やはりリータはお気楽な笑いとともに口を開く。

「昨日の夜、レン君が食べてる時にね〜。いや〜、手元も見ずに押してたからもしかしてとは思ってたけど、ホントに気付いてないとはねぇ」

ケラケラと笑う彼女の前に、レンは果てしなく脱力した。

同時に、半ば叩きつけるようにパーティー解散のシークエンスを実行する。ピラリーン♪という効果音とともに視界の端っこからHPバーが消失した。

向かいに座る女が何よぅ、と唇を尖らせる。

「少しぐらい良いじゃない」

「………気が済んだらとっとと出てって欲しいんだけどな」

「あら?お姉さんに欲情しちゃった?」

「どーやったらそんな結論になるのさ……」

はぁ、とレンはため息をつく。

だが、そのやり取りはいつの間にか悪くないものとなっていることに気付き、心の底から驚愕した。

自分は殺人者だ。

否、殺人()だ。

それも、殺人数(スコア)の数は一人や二人などではない。レンのクエスト欄の一番上に据えられている、あの忌々しい神から貰った強大な力を手に入れるための片道チケット。そこには、今まで命を絶った人々のプレイヤーネームがご丁寧に記されている。クリックすると、顔写真まで表示されるオマケ付きだ。

正当防衛などと、言い訳(フザけたこと)を言うつもりはない。

己の前に、降参すると言って跪いた者もいた。

己の前に、助けてくれと言って謝る
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