暁 〜小説投稿サイト〜
赤城と烈風
前史
波瀾の種
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 史実と異なる極東情勢の要因、分水嶺《クロス・ポイント》は明治38年に遡る。
 山県有朋は奉天掌握後の膠着状態を憂い、最前線の視察を選んだ。

 奇兵隊参謀として実戦に臨んだ権勢家は諜報活動、策謀を重視。
 明石元次郎に渡す軍資金、工作費も鶴の一声で数倍に増している。

 至高者は最前線に着き、帝政ロシア陸軍の弾幕射撃に戦慄を覚えた。
 76.2ミリM1902野砲は射程距離8500m前後、駐退器も備え理論上毎分最大12発射撃可能。
 31年式野砲は射程距離7800前後、射撃の度に数m後退し押し戻さねばならない。
 士気を維持する為に毎分1,2発応射し続ければ弾薬枯渇の悪夢が戦場を襲う。

 日本陸軍の長老は急遽帰国、山本権兵衛に緩衝地帯の構築を諮った。
 大陸利権放棄を前提に新大陸の鉄道王、ハリマン氏に有償で譲渡の密談が進む。
 和平交渉成立後ストレート氏、合州国総領事が鉄嶺に着任。
 経済勢力圏の膨張を謀り、法庫門〜新民屯鉄道の敷設権も得る。

 合州国海軍は戦艦16隻地球一周、大航海訓練公表で権益獲得を援護。
 1908年10月、大白色艦隊《グレイト・ホワイト・フリート》が東京湾を訪れた。
 翌1909年ロシア皇帝は黒海南岸の獲得を望み、哈爾浜(ハルビン)以南の鉄道を高値で譲渡。
 渤海沿岸の錦州港と露清国境の愛琿(アイグン)を結ぶ動脈、錦愛鉄道の噂も現実味を帯びる。


 1689年に帝政ロシア東方進出最前線、阿爾巴津(アルバジン)砦が陥ちた。
 ネルチンスク条約明記の露清国境は額爾古納(アルグン)河、外興安嶺(スタノヴォイ)山脈。
 ?第(ウダ)河地方帰属は譲らず、アルグン河以南ロシア人退去後も獲得の道を探る。

 第二次アヘン戦争の最中、1858年の愛琿(アイグン)条約締結で黒竜江省北側を奪った。
 北京条約締結時1860年《共同管理地》も奪い、日本海北岸に軍港を築く。

 1917年ロシア革命の勃発後、鉄嶺軍の最高指導者は東三省の実権を握った。
 2月ザバイカル軍指導者セミョーノフ配下、シュテルンベルク男爵が鉄嶺を訪れる。
 外モンゴル掌握の援軍を得て、スタノヴォイ山脈以東も実効支配の構想は潰えた。

「合州国大統領の調停で連合軍が撤退の場合、ウラル山脈以東を貴国勢力圏と認める」
 英仏連合軍の侵攻、競争者支援に評議会(ソヴィエト)議長は焦った。
 合州国首都に特使派遣の画策は実らず、密約提示後に黒竜江渡河、沿海州進撃の準備が進む。
 1920年1月10日《国際連盟》発足時、スタノヴォイ山脈以南の領有権に異議は確認されていない。


大白色艦隊(グレイト・ホワイト・フリート)主力、戦艦16隻(排水量、備砲、最大速力)
『ミズーリ』『オハイオ』(1万2500d、35
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ