第九十七話 危険な二機
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『接近するMSあり――――これは、例の新型です!』
「チッ、もう来やがったか……MSの修理はまだなのか!」
コックピットに乗り込み、いつでも出れると言わんばかりの状態で待機していたマーレは、機体の修理がまだ終わっていないのかと近くの整備士に聞く。しかし、彼らも全力でやっています、と応えるだけでまだ修理自体は終わっていないようだ。
『案ずるな、この僕がいる限りラー・カイラムを落とさせはせんよ。それどころか、逆にその新型とやらを落としてみせようではないか!』
「そんなんだからよけい心配なんだよッ……アレック、悪いが頼むぞ。時間を稼いでくれるだけで良い」
『任せろ、暴走しそうなルドルフのおもり位はするさ。だが、倒せるのであれば倒してしまっても問題あるまい?これでも実力はあるほうだと思っているからな』
アレックはそう言ってルドルフの尻拭いは自分が請け負うという。元々彼の仕事の一つはそれなのだから行って当然という意識があるのだろう。しかし、同時に彼にもプライドがある。時間を稼ぐだけでいいというのは少しばかり気に障る言葉だったようだ。
「そりゃ勿論そうだが、そんな甘い考えで勝てる相手じゃねえぞ。俺の機体も修理が完了したらすぐにでも出る。だからそれまで落とされないようにしろ」
それでも念押しするマーレ。アレック以上にプライドの高い自信であっても機体の性能差から考えて勝てないと判断したのだ。念を押したくなる気持ちも分からなくはない。些か納得いかないといった表情を見せつつも、最終的にはアレックもマーレの目を見て納得した。
話を終えてアレックとルドルフが出撃する。ガルバルディβとギャンクリーガーは特化している部分こそあれどどちらも優秀な機体だ。彼ら自身の実力も合わさって普通ならそこまで心配する必要などないと思える。だが、今回は相手が悪い。
「間に合わせてくれよ……」
しかし、そんな中でマーレが出来るのはOSの書き足しや戦況の把握ぐらいであり、酷く辛いものを感じながら作業を進めていく。
どのくらい時間が経ったのか正確に把握していないマーレには分からなかったがようやく機体の修理が終わった。そのままマーレはヘルメットを被り直し、出撃させる為に起動する。
「戦況は?アレックやルドルフ達はどうなっている?」
『両名は敵との遭遇後に出来る限り艦との距離を取る様に移動しつつ戦闘を継続している模様です。しかし、敵機の実力がかなり高く、彼らも苦戦しています』
「了解した。出撃後はあいつ等の支援に向かう。ラー・カイラムの防衛は現状の味方部隊で事足りるな?」
『はい、問題ありません。艦長もそうする様にとのことです』
マーレは頭の固いどっちかといえば守備寄りの作戦を好む思考を持つグラスゴーであっても、彼らへの
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