第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十二話 狂花の蕾
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今度は何よ!」
怒りながら近付いてきたルーミアに手招きをしてある場所を指差した。ルーミアは不審そうに僕が指した場所に視線を向けると、
「…どうしてこんな森の奥に轍が?」
僕が吹飛ばされた所に荷馬車が通った跡があったのだ。別段珍しいものではないが此処は結構な山奥であり街道からも外れすぎている。こんな所に荷馬車を引いてきたら妖怪に襲ってください、と言っている様なものだ。しかも新しい轍なので今も此処を通っているのだろう、あまりにも不自然だ。
「只の物好きか、変り種の妖怪か、…ちょっと調べてみようかな。ルーミアはどうする?」
僕は何時もの様に直感に任せて行動しようと思いルーミアにそう聞いてみた。もしかしたら何かあるかもしれないし、無いかもしれない、なので無理にルーミアを付き合わせる事もない。
「…付き合うわ、こういう時のあんたの勘って大抵厄介事を引き当てるしね。ほっとくとどうなるか分からないし」
「非道いなー」
僕はルーミアの返答を聞くと轍が続いている森の奥へと進んで行く。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
暫く進むと轍は鬱蒼とした森の所で不自然に途切れていた。しかしどう見ても馬車が通れる様な森ではなく人が入るのも困難だろう。
僕達は道の周囲を調べてみたが道の左右にも抜け道らしきものは無く手詰まりになった、と思った時に僕は漸く違和感に気付く。道が途切れている森の方に近付くとはっきりその正体が分かった。
「結界…しかも凄く高度な」
触れて漸く認識できるほどの高度な隠蔽結界がそこに張られており、僕の疑念はますます高まっていく。只の山賊や妖怪に張れるようなものじゃない。
「…虚空、これ破れる?」
そう問いかけてくるルーミアに僕は首を横に振る事で無理だ、と伝える。正確には無理じゃない、この結界はあくまで隠蔽する類のものだから力押しでやれば破壊は出来る。けど何の為の結界か分からない以上無理矢理破る意味も理由も無い。こじ開けられるかな?
暫く僕とルーミアが結界の前で思案していると遠くから僅かに複数の話し声と車輪が地面をける音が聞こえてきた為僕達は近くの茂みに隠れ気配を絶つ。
現れた人物達を見て僕達は少し驚いた。馬に引かせた馬車が一台、その手綱を引いている人間の男が一人、馬車の後ろを歩いている男が二人、だが後ろの二人は間違いなく人に化けている(もしくは人型)の妖怪。
そして馬車には背格好が近い女の子が三人、全員が縛られている。一人はやや癖のある薄紫のボブに深紅の瞳の子、一人は 薄く緑がかった癖のある灰色のセミロングに緑の瞳の子、一人は腰近くまである黒髪のストレートで黒い瞳をした子だ
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