第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十二話 狂花の蕾
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さいませ!」
殿朗の話はこうだ。ある森の霊地に恐ろしく凶悪な妖怪が住み着き怪しげな花を咲かせ人々を襲い恐怖させているらしい。
その地に祀られている神も名立たる陰陽師や退魔師も歯が立たず困っていると。そこでかの諏訪大戦を戦った伝説を持つ七枷の神に力を借りるしかない、と結論し代表で殿朗が嘆願に来たという事だ。
「お願いいたします!どうか我らをお助けください!」
殿朗は再び深々と頭を下げ、その殿朗に神奈子は声をかける。
「汝の願い聞き届けよう、安心するがいい」
「ありがとうございます!都の皆も喜ぶでしょう!」
神奈子の返答を聞き殿朗は歓喜の表情を見せ、その妖怪の情報を伝えると付き人と共に神社を後にした。情報によればその妖怪の緑色の髪で赤い服、特徴として何故か日傘を持っているらしい。殿朗達が帰った後で神奈子達は本殿に残り話をしていた。
「…ねぇ神奈子は今の話をどう思ってるの?あたしは何か怪しいと思うんだよね」
諏訪子はそんな風に神奈子に問いかける。諏訪子は別に殿朗の見た目や何やらで疑っている訳ではなく聞いた話と情報からなんとなく疑念を抱いていた。問われた神奈子も軍神としての直感も相まって今回の話に疑念を抱いている。そんな二人に栞は不思議そうに聞いてきた。
「何か変な所がありましたか?」
首を傾げる栞に神奈子は説明を始める。
「まぁ勘の部分もあるんだけどね、あたしはあの周辺から強力な妖怪に襲撃されたなんて話は耳に挟んで無いんだよ。それにこの地図からしてその妖怪が居るらしい所は南の都や他の都からも大分離れた森の中だし、そこに花を咲かせた所で人に害を及ぼすとも思えないしね。…結局は憶測だけど」
神奈子は殿朗から渡された地図を眺めながらそう言い、どうするかは虚空が帰ってからと諏訪子に提案し三人は社務所に戻ることにした。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
ルーミアと共に山菜を集めだしてそれなりの時間が経ち篭の中には結構な量の収穫物が集まっていた。そこで僕は大事な事を思い出した為、隣に居るルーミアに声をかけた。
「ルーミア大変だ!」
突然声を上げた僕をルーミアは驚いた様に見ながら、
「何?どうかしたの?」
少し心配そうに聞いてきたので僕は真面目な顔をしてはっきりとこう言った。
「お腹空いた!」
瞬間、強烈な蹴りが炸裂し僕は鞠の様に茂みの向こうまで吹飛ばされた。攻撃を行ったルーミアは顔を怒りに染めながら、
「私だって空いたわよ!というかあんたのせいでしょうが!」
怒鳴りながら吹き飛んだ僕の方に歩いてくるルーミアに再び声をかける。
「ルーミア」
「
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