暁 〜小説投稿サイト〜
魔導兵 人間編
誓い
[9/9]

[8]前話 [9] 最初
くの? あたくしもつれていって!」
「桜子。君はここにいるんだ」
「いや、にーたまと行くの! 行くったらいくの!」

 道理で愛されるわけだ。こんなに可愛らしくねだり。潤んだ瞳で泣き喚く。誰であれ、少女を愛してやまないだろう。なぜこうも違うのか。
「僕と一緒に、いて、くれるの?」
「はい、にーたま!」
「どう、して?」
「あのね、桜子ね。にーたまのこと大好きなの! だから一緒にいたいの! いい?」
 この日、左霧はようやく妹を愛そうと決めた。と同時にようやく自分の運命を決めた。
 それは決してあの人に定められ道を行くのではない。だが、その運命には従う。

 自分の生まれた意味など知りたくもない。知ったところで意味などない。この体に宿る者が誰であれ関係ない。自分は妹と行く。その道に破滅しかなくとも。握り締めた小さな手だけは離さない。

「――死が、分かつその日まで」
 暖かい体温を感じながら、『魔導兵』はその日『母性』を手に入れたのだ。

[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ