居場所
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子を不安に感じたのか。難しい話のため、左霧の傍で本を読んでいた桜子が中に割って入ってきたのだ。
「喧嘩はダメ〜〜〜〜!!」
「きゃ……!」
「ああっ! 桜子様、ご無体な……!」
「あわわわわわわわわわわわわ……」
桜子は小さな体を機敏に動かし、雪子のスカートと華恋の和服を一気に捲し上げた。チラリと見てしまった二人の下着姿に左霧は大慌てで顔を両手で覆う。桜子はテカテカした顔で満足そうに頷いていた。
「喧嘩りょーせいばいだよ?」
桜子の至極真っ当な意見に、二人は深く反省したようだ。それよりも、目の前の彼に見られたショックの方が大きかった。自分の妹ながら、やはり恐ろしい存在だ。左霧は密かに妹の成長を喜んでいた。
「あ、あ、あ、左霧に、見られちゃった……」
「はぁ……どうせならもっと派手な物を着てくればよかったです」
華恋は少しずれているが、そんなことは最初からわかっていたので気にしない。
ようやく大人しくなった二人を確認し、左霧はホッ胸をなで下ろした。これから上手くやっていけるのだろうか? いや、上手くやっていけなくてはならない。
「雪子様は、お茶がいいですか? 紅茶がいいですか? ああ、水でいいですね」
「紅茶、アールグレイでよろしく、召使。さっさと働きなさいよ――――アリのように」
……上手くいってほしいと切に願うのだった。
夜、左霧は自室で鏡を見ている。等身大の鏡。特に何の変哲もない鏡。だが、その場では、『会話』が行われていた。会話――――つまりその場には左霧ともう一人の話し相手がいるはずだ。しかしその姿はどこにもない。にも関わらず、左霧は会話を続ける。まるで、親しい仲のように『彼ら』は話始めた。
「勝手なことをしてくれるなよ」
「……分かっているよ」
「いいや、お前は何も分かっていない。本来、俺たちはこんな茶番を続ける必要などどこにもない」
「でも全て任せると言ったのは君だよ? 今さら口出しなんてしないでもらいたいな」
「ああ、そうだな。だがお前が悪魔と契約をしたなら、話は別だ。何のつもりだ? 何様のつもりだ?」
「……あの時は、ああするしかなかった。雪子さん……彼女を守るには」
「雪子……? ああ、あの女か」
鏡との対話。鏡の中の左霧は不満そうに腕を組みながら鼻を鳴らす。
「なぜ弟子など……」
「逃げてばかりじゃ、いられないってことだよ。左霧、君をいい加減わかっているだろう」
「ふん……弟子などとらなくても、俺は一人でも十分だがな」
「僕は違う。僕にはそんな力はない。いい機会だと思うんだ。僕は僕たちでやるしかないんだ」
「だから弟子だと? くだらない。それに何の価値がある? 大体、お前が弟子だと? ふっ、笑わせるなよ」
明らかな挑
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