居場所
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うやく自分が間違っていることに気づくのだった。
「下げろ、華恋。二度は言わんぞ?」
「……っ! 失礼しました。お許しください左霧様」
そう告げると、何もなかったかのようにまた笑顔に戻る左霧。それを見ると華恋はようやく肩の力を抜くことが出来た。
「……気にしてないよ、雪子さん、紹介が遅れてごめん。こっちはお手伝いさんの華恋」
「……どうも」
いきなりな態度をとられた雪子は少し不満らしく、その表情は固いまま。それでも最低限の礼儀ということで首だけ僅かに動かし会釈をする。何とも言えない空気が二人の前に漂う。
「華恋です。先程は失礼を……ですが、一体どういうことですか左霧様? 弟子をとろうなどと……」
「まあ、ちょっと僕も……このまま逃げてばかりじゃいけないじゃないかと……」
左霧は雪子との一件を説明した。華恋は終始眉を潜めたままだった。だが、主の決断に対して自分が意見できるはずがないと判断したのか、溜息をつきながら了承した。
「なるほど……では左霧様のお仕事の半分は、雪子様の教育になるのですね?」
「そうなるのかな? 放課後の部活動みたいなものだけど」
「部活動って左霧……先生。まさかここに毎日私は通うことになるの?」
「そうなるけど……何か不満があるの?」
「……そう言うわけじゃないけど、いいのかしら、先生の自宅にお邪魔しちゃっても……迷惑じゃないの?」
「大丈夫です。もう迷惑ですから」
「……なんですって?」
先程から痛いほど視線を受けていることは分かっていたが、どうやら隣の召使は自分のことが嫌いらしい。初対面で、しかも女中ごときに文句を言われる筋合いもない。自分がお嬢様なのは外面だけで内面はご覧のとおり跳ねっ返り。当然、売られた喧嘩は買う。よって両者の前には赤い火花が散ることになった。
「大体なんですかあなたは? 左霧様に対してタメ口など……学生なら学生らしく振る舞いなさい」
「はぁ? 女中ごときに文句を言われる筋合いはないわ。私がその気になれば左霧なんてクビチョンパなんだから」
そう言って雪子は冗談混じりに手刀を横にスっと振った。洒落にならない。
左霧にとって一番聞きたくない言葉だった。だが正にその通り。彼女に逆らったり何かあった場合、自分の安い首など簡単に飛んでしまうのだ。今になって左霧は自分が爆弾を抱えていることにようやく気が付いた。
「なんて高飛車な子……左霧様、私は反対です。こんな子、さっさと溝にでも捨てたほうがいいです」
「左霧、こんな失礼な召使、さっさと富士の樹海にでも捨ててしまなさい。私がもっといい子を紹介してあげるわ」
「いや……とりあえず落ち着こう? ね?」
「「落ち着いているわよ!!」」
どうやら取り返しのつかないことになっているようだ。そんな様
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