居場所
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になったの?」
「おかえりなさいませ、左霧様……クビになったのですかって……あら?」
「やぁ、二人共、お帰り」
雪子が左霧の家で話し込んでいると、二人がようやく帰宅してきた。小さな天使(左霧視点)桜子と色々と大変な自称女中、華恋だ。華恋の手には大きく膨れ上がったスーパーの袋が二つ。どうやら買い出しに行くついでに桜子を迎えに行ってくれたのだろう。
「何か、今不快な空気を察しました。ということで左霧様、殴らせてください」
「やだよ! でもゴメンなさい」
「なぜ謝るのですか……ところで左霧様、そちらの方は?」
華恋は視線を雪子に移した。いきなり現れた和服姿の美人に雪子は恐縮しながらも、何か言わなくていけないという使命感に駆られ、立ち上がった。
「あ、あの、私は雪ノ宮雪子と申します。えっと、左霧……先生の受け持つクラスの、生徒です」
「雪ノ宮……はっ!! まさか!」
「まぁ!」
華恋と桜子は同時に驚き、華恋は左霧のところへ滑り込むように駆け、桜子はカバンを背負ったまま雪子の方へ向かい、スカートを摘みながら丁寧にお辞儀をした。
「ようこそ霧島家へ……私は左霧の妹で、桜子と言います。何もないところですが、どうぞごゆっくり……」
「こ、こちらこそ……」
小さなクリクリの目が、雪子に向けられている。満面の笑顔、黒くてしなやかな髪。なるほど、どことなく先生に似ているな、と雪子は目を丸くする。愛らしく左霧とじゃれあう姿に雪子は毒気を抜かれた。
「こらこら、桜子。何もないってことはないだろう?」
「えー? だって本当のことだもん!」
「そんなことはないよ? 例えば」
「何にもない!」
意地悪そうな目つきで左霧をからかう桜子。左霧は「う」だと「え」だのと説得をしていたが、遂に屈し、涙目になりながら華恋へ相談した。
「華恋……桜子が反抗期だよ?」
「違います。事実です。それよりも……雪ノ宮の女を手篭めにするなんて、左霧様、グッジョブです。これで当分お金には困りませんね」
今日も華恋の思惑は腹黒かった。いいかげん自分の印象を改めて欲しいと願う左霧だった。
「何を言っているの華恋は? 雪子さんはね、僕の弟子になったんだよ?」
「弟子……それは一体どういうことですか?」
途端に華恋は鋭い視線を雪子に向ける。それは主を守らんがために前に出る騎士のような姿だ。
「まさか、霧島の『魔術』に手を出そうと?」
「違うよ、華恋。その手を下げなさい。命令だ」
華恋は警戒をあらわにし、雪子に向けて手を開いた。不穏な空気を感じ雪子も華恋を睨みつける。いきなり敵意を示してきたのだから、雪子の反応は当然だ。
「ですが!」
左霧の空気が変わった。いつもの穏やかな笑顔の下に隠された、鋭い刃。華恋はよ
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