弟子
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っている意味分かってんの!?」
仮にも先生になんていう態度。だが、そんなことはもうどうでもいい。雪子は何が何だか分からなかった。そして処女だった。
「うん! 君は今日から僕の弟子だよ? よろしくねっ!」
「……は?」
「じゃあ早速今日から勉強だね。まずは一冊魔道書を読んでもらおうかな。う〜んどんなのがいいだろう? 弟子なんて初めてだから照れるなぁ〜。あ、僕のことは普通に先生でいいからね? 師匠なんて恥ずかしいし、柄じゃないから」
そう言いながら目の前の男はウンウン考えだした。母親は腹を抱えて笑っている。自分は大きな間違いをした。顔から火が出るほど、恥ずかしい間違えを。だが何よりも許せないのは、間違いなくこの、能天気男だ!
「……れが呼ぶか」
「え? 雪子さん何か言った?」
「誰が先生なんて呼ぶか! あんたなんか呼び捨てで十分よ! この! この! ポンコツ! ダメ男! ダメ男!」
「え!? 何!? どうして!? 僕、担任なのに!」
自らの勘違いからきた恥ずかしさを左霧に向けた雪子は、ポカポカ、というかガンガンと左霧の胸を殴った。そして自分より『それ』が大きいことに落胆した。自分は女で、この人は男のはずなのに負けたのだ。
そんな教師と生徒らしからぬ関係に、雪江は苦笑しつつも暖か目で見守っているのだった。
「行くわよ左霧! もう授業が始まるわ!」
「それ僕のセリフー!」
本当に大丈夫なのか? どちらが教育されるのかわかったものではない。とりあえず、デコボコ師弟関係が、今ここに誕生した。
それは後の大魔術師にして九九代目『魔王』雪ノ宮雪子の輝かしき誕生の、瞬間でもあった。それはまた別のお話。ここがスタート地点。そしてまだまだ続くのであった。
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