暁 〜小説投稿サイト〜
魔導兵 人間編
弟子
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
っている意味分かってんの!?」

 仮にも先生になんていう態度。だが、そんなことはもうどうでもいい。雪子は何が何だか分からなかった。そして処女だった。

「うん! 君は今日から僕の弟子だよ? よろしくねっ!」
「……は?」
「じゃあ早速今日から勉強だね。まずは一冊魔道書を読んでもらおうかな。う〜んどんなのがいいだろう? 弟子なんて初めてだから照れるなぁ〜。あ、僕のことは普通に先生でいいからね? 師匠なんて恥ずかしいし、柄じゃないから」

 そう言いながら目の前の男はウンウン考えだした。母親は腹を抱えて笑っている。自分は大きな間違いをした。顔から火が出るほど、恥ずかしい間違えを。だが何よりも許せないのは、間違いなくこの、能天気男だ!

「……れが呼ぶか」
「え? 雪子さん何か言った?」
「誰が先生なんて呼ぶか! あんたなんか呼び捨てで十分よ! この! この! ポンコツ! ダメ男! ダメ男!」
「え!? 何!? どうして!? 僕、担任なのに!」

 自らの勘違いからきた恥ずかしさを左霧に向けた雪子は、ポカポカ、というかガンガンと左霧の胸を殴った。そして自分より『それ』が大きいことに落胆した。自分は女で、この人は男のはずなのに負けたのだ。
 そんな教師と生徒らしからぬ関係に、雪江は苦笑しつつも暖か目で見守っているのだった。

「行くわよ左霧! もう授業が始まるわ!」
「それ僕のセリフー!」

 本当に大丈夫なのか? どちらが教育されるのかわかったものではない。とりあえず、デコボコ師弟関係が、今ここに誕生した。
 それは後の大魔術師にして九九代目『魔王』雪ノ宮雪子の輝かしき誕生の、瞬間でもあった。それはまた別のお話。ここがスタート地点。そしてまだまだ続くのであった。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ