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魔導兵 人間編
弟子
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でも言うように、自分だけ勝手に心を入れ替えたかのようだった。
 一方の左霧は困惑していた。これ以上関わらせないことが前提ではなかったのか? 生徒を危険に巻き込む可能性は昨日の夜、指摘されたはずだ。教会の事件は不明の爆発となっているが。とりあえず雪子は自分の意思とは全く正反対に動いていることに戸惑っていた。

「悪魔と、契約してしまったらしいな?」
「あ……!」

 雪子は自分を守ってくれた先生の姿を思い出し、胸を痛めた。あの時先生は本当に、映画に出てくる魔法使いみたいだった。私を助けてくれた、正義の魔法使い。

「それは、自分が勝手にやったことです……」
「もちろん、取り消すつもりなのだろう?」
「…………」
「馬鹿者。そこは嘘でもはいと言え。まぁ、お前にそこまでさせてしまった以上、私にも意地がある。この子、教育してはもらえないか? ……経験はなくとも、『魔導』の力を持つ者だ。役に立つ」
「あなたは、自分の子供を人質にするつもりですか……!」

 それならば尚のこと聞き入れるわけにはいかない。自分は生徒を守ったはずなのに、再び危険にさらすことになるのだ。これ以上、この子を恐怖の渦中に叩き込むつもりならば、阻止しなくてはならない。しかし学園長は無言で否定を示した。

「左霧、今回のことで分かった。魔術を否定し続けても、いずれまた今回のようなことが起こる危険がある、ということがな」
「それは、雪子さんがこれ以上魔術と縁を切れば」
「本当にそれで終わると思うか? 魔術師が何を目指して生きているか、お前は知っているだろう?」

 そんなことは分かっている! 自分や、学園長以外の魔術師がどれだけ危険な存在なのかぐらい! 左霧は大声で怒鳴りたかった。前にいる者が自分の上司でなかったなら、そうしているところだ。

「魔王……!」
「そうだ。魔王不在のここ数年、どれほどの血が流れたか! 裏でどれほどの魔術師たち一派が滅んでしまったのか! 本当に、関わらせないというだけで、この子は、生きていけるのだろうか? なぁ左霧、本当にそう思うのか?」

 思う、と断言できるわけがなかった。そんなことなどお構いなしに襲ってくる連中だってぞろぞろいる。悪魔も人をたぶらかす。魔力など、もっていれば持っているだけ、人間には危険な所有物なのだ。

「僕が、守ります」
「自惚れるな小僧! お前一人に何が出来る? いや、私とお前だけで、本当に守りきれると思っているのか? 雪子が、下手をしたら学園の生徒たちすらも危険に晒すことになるのだぞ? いや、お前の、お前の家族すらも……!」
「そ、れは……」

 ただ一人、たった一人。守りたい少女がいた。その少女を守ることは出来なかった。今でも思い出すと胸が苦しくなる。自分は無力で、何も守ることが出来
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