弟子
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、『最後の生き残り』なのだ。私が引き取り面倒を見てきた。おかしいか? 私のやっていることが?」
「いいえ、そんなことは」
「おかしいと思っているのだろう!? 私が、こんな私が! この子を引き取ったとき、母性を感じてしまったことが!」
「いいえ! 決して、学園長、決してそんなことは……」
雪江は自らが取り乱したことに恥じて謝罪した。母の頬は真っ赤に染め上がり興奮していた。雪子の知っている母は少なくとも冷静で、時に子供じみたところのあるおかしな人ではあったが、こんな表情は初めて見た。
「……雪子が何か探っていることは分かっていた。お前に行かせたのも、『魔術師』として信用していたからだ。話には聞いているよ?『霧島には鬼がいる』のだそうだな?」
ピクリと左霧の体が反応したことに雪江は見逃さなかった。雪子は左霧の苦しそうな表所の訳を聞き出せるはずもなかった。
「だが……雪子があの本『悪魔の書』を持ち出していることは気づかなかった。私の監督不行き届けだ。左霧、雪子の命を救ってくれて、本当にありがとう……」
チョコンと頭を下げた雪江に習い、雪子も慌てて前に出した。左霧は両手を振って「そんな、別に、僕は」などあわあわと普段通りに接していた。昨日はあんなにキリっとしていたのに、雪子は何となく残念に思った。
雪子が入った教会やそれに関連する場所、例えば祠や神社などは比較的魔力の溜まりやすい場所で、魔術を行使するのに便利なのだとか。雪子がなぜあの古ぼけた教会をわざわざ選び、悪魔を呼び出してしまったのか。それは無自覚に、魔力の流れを辿ってしまった結果なのだとか。雪子自身は、ただ魔道書――――悪魔の書の言うとおり、埃っぽくジメジメした場所が最適と書いてあったから潜りこんだだけなのだが。
「雪子、魔術とは一つ道を謝ると今回のようなことや、それよりも酷い事件に巻き込まれることがあるのだ」
「はい……」
もう雪子は懲り懲りだと思った。あんな恐い思いをするくらいなら、普通に生活して、普通に友達とおしゃべりして――――友達はいないけど。でピアノや習い事をしながら優雅にお嬢様らしく暮らしていく方がいいと決まっていた。このことを反省して、いい加減夢見がちな性格を治そう。そして普通に結婚して、普通に暮らしていくのだと改めて目標をたてていたのだ。母親だって、これ以上自分を危険な目に合わせたくないと思っている。だったら自分にはこの考えが最適だ。ていうか魔術なんて嫌いだ。そう思い始めていた矢先――――。
「左霧、この子を弟子にしてはもらえないか? ていうかしろ。これ学園長命令ね」
「ええ!?」
「学園長……どういうことですか?」
雪江はいつものように開けっぴろげに笑ってた。今までのことは今まで、これからのことはこれから。そうと
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