闇の死者
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もの気配が戻り始めた。今度こそ、左霧は安心して雪子の方へ振り向いた。当然、彼女の表情は硬いままだった。
「先生……大丈夫なんですか? 私、先生にとんでもないことを……」
「……心配しないで。でも雪子さんが無事で本当によかった……詳しい話は明日聞くとして、今日はもうお家に帰ろう?」
「……はい」
雪子は終始硬い表情のままだった。心労も溜まっているだろう。一度に凄まじい体験を経験してしまったのだから。タクシーで送るまで、ずっと左霧の顔を見つめていた。
一方の左霧はそこまで深刻ではなかった。なぜなら、あの契約がなくとも、自分はおそらく地獄に落ちることは確定していたからだ。自嘲気味に笑いながら、左霧も帰宅することにした。
だが、この出来事は生涯雪子にとって決して忘れられない後悔になることは、まだ知る由もなかった。
こうして、運命の鎖は絡み合う。それはまるで必然であったかのように。絡み合う、二本の鎖は、やがて数本に絡み合い、そして崩壊していくのだった。
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