電話
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女たちと暮らしていくつもりです。今日は三人で出かけます。桜子の成長が著しいため、服を新調しなくてはいけませんから」
「……そうですか。あなたがマリアナ学園の教壇に立つことは存じています」
なぜ知っているのだろう。そんな疑問を抱いたが、今はそれよりもこの人を牽制しなければならない。その思いが、恐怖に勝り、左霧を突き動かした。
「もう、僕たちに関わらないで頂きたい。あなたたちがどうような野心を抱いているか分かりません。ですが僕――僕たち家族を巻き込まないことはあの時、約束したはずです」
「…………そうですね」
「僕は――僕はもう『霧島』を捨てたのです」
「……あなたはそうでも、桜子は、どうかしら?」
「霧音様……!」
「左霧……どれだけ逃げたとしても、運命は変わることはありません。わかっているのでしょう? あなたは、賢い子ですから」
「……失礼します。二人を待たせているので」
「力は……どこまでも追ってくるのです。……早く決意なさい」
一方的に電話を切り、少しの間目をつむる。そうでもしなければ激情を抑えられない。
今日は休日だ。皆で楽しく過ごす日だ。だというのに自分のせいで台無しになどしたくない。せめて出かける前には、いつもどおり笑顔でいたい。左霧は壁に寄りかかりしばらく呆然と立っていた。
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