花も恥じらう
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朝礼はもうとっくに終わっている。今日は生徒たちとの顔合わせと、簡単なガイダンスの午前授業なので教師たちは気が楽だった。それなのにこの学園のボスが直に顔を出したとなれば、皆の緊張も高まるというものだ。
当然、さっき会ったばかりの左霧も驚きを隠せない。その、幼さに。
「楽にしてくれていい。特に用事という訳ではないのだが、うむ。改めて、今年も生徒たちをよろしく頼みたい。彼女たちは高校生とはいえ、一般の学生とは育ち方が違う。世間のことなどまるで知らないような者ばかりだ。君たちには世話をかける。だが、いずれの生徒も、この国を担う大事な人物には相違ない。教師として、あるいは『守護者』として彼女たちを守ってやってくれ。頼んだぞ」
そういって雪ノ宮学園長はペコリとスカートを摘み、頭を下げた。先程は傲慢不遜に左霧を罵っていた彼女だが、やはりその仕草は大人である。ただ、何で小さいのかという謎が、左霧にとっては依然としてついてまわるのであった。
「……霧島、頼んだぞ?」
片目でウインクをしながら熱い視線を送られた左霧。その目には、分かっているな? という脅しのような思念を感じて思わず唾を飲んだ。
何故、自分だけ? そう思わないでもない左霧だが、おそらく自分の能力に関して不安な部分があるからなのだろうと判断した。ならば、それを覆すのみ。そう張り切る彼だったが、その意味はもっと深く、面倒な事情があるのだとこの時の彼には知るはずもなかった。
何にせよ、彼の日常はこれから始まったばかりなのだ。周りから、ご愁傷さん、とか、死ぬなよ! とか おっぱい揉んでいい? とか言われても気にしない。だけどセクハラに男も女も関係ないので今度は注意しようと左霧は心に誓った。
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