学園長
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に不安を覚える左霧だった。
「まぁ……多少癖のある生徒が多いのは確かだ。花よ蝶よと育った世間ことなど何も知らない小娘ばかりだからな。だからこそ、この学園が必要なわけではあるのだが、な」
学園長は腰に手を当て、頷きながら砂上のフォローをする。未だに学園長なのか信じられない左霧は、黙って様子を窺うしかなかった。
「時に、左霧とやら……『霧島』に男児は生まれていたのか?」
「はい」
左霧は躊躇なく端的に言い切った。その表情をジッと学園長は見ていたが、やがて面白くなさそうに、ふんっと鼻を鳴らした。
「まぁいい、数々の無礼があったわけだが、私は君に期待しているんだ。せいぜい、私を裏切らないでくれたまえよ? 霧島の」
「……精一杯、頑張ります!」
この時、左霧はあることに気づいていた。自分という個人に期待しているのではなく、彼女は『霧島』という言葉にのみ固執していたことに。
自分はもう、あの家とは関係のない赤の他人なのだ、と言うことは出来なかった。それは、自分がその性を捨てきれていないことと、あの家に多少の未練があること、両方の理由があったからだ。
だからこそ、認められたいと思った。霧島ではなく、自分自身の価値を。その為に、彼は探し出すのだ。自分の、可能性を――――。
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