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魔導兵 人間編
学園長
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礼しました。私は、あなたの担当する一年三組の担任、『砂上 百合』といいます。以後私の指示に従って行動するように心がけてください」

「はいっ! よろしくお願いします先輩!」

 元気よく左霧は砂上の手を握った。彼女も先輩と呼ばれてまんざらでもなかったらしい。軽く咳払いをして左霧の手を快く握り返してくれた。

「ところで霧島さん……は男よね? とても男性には見えなくって、不快に思ったらごめんなさいね」

「あ、いえ、よく間違えられるので……。はい、正真正銘の男です」

 左霧は少し恥ずかしそうにもごもごと喋った。毎回、会う人に女性ですか? と尋ねられる自分に少なからず羞恥心があった。それは、彼の容姿だけではなく一挙一動からも女性らしさが滲み出ていることを、彼は気づいていない。現に、ナヨナヨとした喋り方や、恥じらう仕草などを教師二人が見て呆れている。

「大丈夫なのか? こいつは?」

「年下! 男の娘! 黒髪! 僕っ子! これは、まさかの豊作!?」

 いや、一人はかなり喜んでいた。そんな様子を見て、雪江は若干引いている。これが、婚期を逃そうとしている女の本性なのだ。

「砂上! ほれ、新人教師が困っておるぞ?」

「は!! またもや失礼しました。霧島さん、この学園のほとんどの生徒は世間に名を馳せる大企業の令嬢や、旧華族の淑女、はたまた海外のVIPからの留学生など、とにかくその命で国一つが動かせるほど方たちばかりです。故に、どんな危険が起きようとも、常に生徒たちの生命が第一です。つまり、もしその命を狙う者が現れたなら、あなたの取るべき行動は、わかりますね?」

「……はい! 私は命を懸けて、生徒たちを危険から守ります!」

 この学園の創設には、ある理由があった。それは、国の命運を担う若者たちを、あらゆる危険から守ることである。その為、学園内の敷地にはあらゆるセキュリティシステムを搭載し、監視カメラを取り付けている。一歩たりとも敷地内に入らせる訳にはいかないのだ。

「ふふ……そんなに固くならないで霧島さん、一応心意気だけは十分伝わったから」

 砂上は左霧の緊張した表情を解きほぐすように肩を軽く叩いた。その自然な仕草に思わずドキリとしたが、それよりも真剣な話題であるのに砂上が笑顔なのである。

「この学園が設立して以来、犯罪なんて一回も起こったことなんてないの。それよりも問題なのがねっ、あの小娘たちっ! いえ、お嬢様方のことなのよ……!」

 笑顔のまま、砂上の後ろから悪鬼の類が出現したかと思ったが、一瞬で雲散した。どうやら思い出したくないことを回想してしまったらしい。ブツブツと何やらいけない単語を喋っているところを見ると、この教師、ちょっとバカンスにでも羽根を伸ばすべきなのでは? と精神的な面
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