ルリム・シャイコースとの戦い X
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瞬の隙をついて、あの光を当てればいい。
しかし、実際に”イイーキルス”が出現したのは、遥か後方。つまり、元々あの場所にあったのを、遠隔で操作したのではないか?しかし今は、護堂が調べた限り周囲数キロメートル内に、”イイーキルス”は存在しない。
これが、何を意味するのか?
(さっきアイツは、『急いでやってきた』って言った。・・・自分たちのボスであるクトゥグアの力を感知して、”イイーキルス”を待たないで来たんじゃないのか?)
この怒り具合から見て、後先考えずにやってきた、というのは非常に説得力のある理由であった。
(それなら・・・チャンスは今しかない!)
だが、判断を誤れば、一気に窮地に立たされる可能性もある。単に、護堂の索敵範囲外から彼を狙っているだけかもしれないのだ。
(・・・考えててもしかたがないか・・・!)
索敵範囲外から狙われているのなら、いくら警戒しても意味がない。そして、先ほど考えたように、ルリム・シャイコースが”イイーキルス”を待たずにこの戦場に現れたのなら、グズグズしている暇などない。
結局、護堂に出来るのはただ一つ。
突き進む、だけである。
ス〜ッ・・・!と一度深呼吸をし・・・
「行くぞ!」
駆け出した。
(『神速』装填!!!)
狙うのは一撃必殺。時間をかければかけるほど、護堂は不利になっていく。なればこそ、自身の持つ最強の手札で決着をつけるつもりだった。
ルリム・シャイコースは闘神ではない。故に、神速を見切る心眼も持っていない。先ほど、神速で逃亡することに成功したことからも、それは明らかである。身体にかかる負担こそ大きいが、『神速』とは、対処できない敵に対して鬼札のような能力なのである。
神速状態に入った護堂は、何十メートルもの距離を刹那の時間で走破した。案の定、ルリム・シャイコースは追いつけていない。
(これはいける!)
彼は、敵の背後に走り込み、そこで神速を切った。早すぎて正確な攻撃が出来ない上に、『神速』を装填したままでは、ルリム・シャイコースを殺し切れるほどの攻撃は繰り出せないからである。
ルリム・シャイコースの背後、一メートル付近で神速を解いた彼は、新たに『製鉄』を装填していた。瞬時に手の中に現れる長剣は、装飾などは皆無な無骨な鉄の剣ではあったが、神を殺すのに十分なほどの威力を秘めていた。
スピードを殺さないように、振り上げはしない。そもそも、剣術の中で最も威力の出る攻撃は、突き攻撃なのだ。護堂も、祖父のフィールドワークに付き合わされていた時の歴史授業において、そのことを知っていた。剣術などやったことがない護堂は、シンプルで素人でも繰り出しやすい、突き攻撃を選択したのだ。
―――だが
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