番外5話『そしてリトルガーデン』
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そうになった血を嚥下して、己の決闘を邪魔した小さな人間を今にも射殺さんばかりの視線で睨み付ける。
――……無茶しすぎだっての!
その視線には答えずに、内心で愚痴を漏らしたハントだったが、すぐさまその位置から動き出した。頭上から巨大な斧が自身に振り下ろされることを感じ取ったからだ。
飛び上がり、その場から移動。ハントが寸前までいた場所に、ブロギーによって振るわれた斧が巨大な地響きを鳴り響かせて地盤を割り砕く。それを傍目に、ハントはその場から移動した勢いのままにドリーへの腹部めがけて飛び上がった。
もしもハントの相手が同じサイズの人間だったらば既に懐に潜り込んで、ハント必殺の一撃を打ち出すことに成功していただろうが、何せ相手は巨人、しかも巨人の中でも随分と手練れに位置する男。
目近ならば見切れなかったであろう高速で飛び込んできたハントの動きも、高さ10m以上という位置にある視点からみればハントの動きを見ることが出来る。自分の懐へと入ってきたことを確認したドリーが、それを叩き落とそうと左手の盾――これまた大の大人の身長を優に超える――でハントを地面に叩き付けようと振るわれた。
「ふんっ!」
「魚人空手陸式『5千枚瓦正拳!』」
それに、ハントは己の拳を突き立てた。
巨人の一撃と、普通の一般的な人間の一撃。
勝ったのは――
「……んなにっ!?」
――ハント。
ドリーの盾が壊れて崩れ落ちる。いや、それどころかドリーが盾を装備していた左腕までもがしびれて動かないようで苦悶の表情をドリーが浮かべた。対してハントはなんのダメージも負っていないようで、平然とした表情でいる。
信じられないことに、小さなハントの一撃が巨人ドリーの一撃を完全に殺した結果だろう。
あえてハントに何かが代償があったとしたことを挙げるならばドリーに飛び込もうとしていた勢いが相殺されて、飛び込めずにそのまま自由落下を始めたことぐらいか。ただし、ハントは既に次の行動に移っていた。
落下しながらも一度引いた右拳を腰だめに構えて、また放つ。
「魚人空手陸式『数珠掛若葉瓦正拳!』」
全力の若葉瓦正拳が、空気を振動させ、体内の水分に連動。体内外から、それらが同時に炸裂した。
「ぐ、がっ」
元々限界を迎えていたドリーはそれだけでもう耐えきれなくなった。体を震わせて、遂には口から大量の血を零し「く、ぐ」と、くぐもった声を漏らしたかと思えば、そのまま地面に倒れた。
――まずひと……りっ!?
ドリーは倒した。が、そこでドリーがもう動けないかどうかをじっと観察していたのが悪かった。未だにハントは自由落下の身で、尚更にそれを回避する方法がない。
あと少しで地面に足がつく……もう数十セン
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