番外5話『そしてリトルガーデン』
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かな海の音を運んでいく。
その日の晩のグランドラインは珍しく、いやきっと必然に。問題が起こりそうになかった。
「……」
「……」
勝負の約束をして談笑を交わしていた二人がいつしか静かになって約30分が経過したときだった。
その異変に気付いたのはハント。
「……ルフィ?」
「……」
「……まったく」
ルフィからの返事がないことで確信を得たハントはまんざらでもなさそうな顔を浮かべて立ち上がり、そのまま後ろにある背中を蹴り飛ばす。しっかりと毛布は抱え込んでいたのか、毛布にくるまったままのルフィがそのまま眼下の甲板へと叩き付けられた。
「……さすがゴム人間」
相変わらず目を覚ます気配のないルフィから視線を外し、結局はまた一人となった見張り台で周囲に目を凝らす。
「あと1時間くらいでサンジが起きてくるか?」
ハントの顔には、相変わらずの喜色が浮かんでいた。
まるで秘境の地ジャングルを思わせるほどに木々が乱立し、生い茂っている。
始祖鳥が空を飛び回り、ジャングルの王者たる虎など比較にならないほどの巨大な生物である恐竜が島中を闊歩する、時代から取り残されてしまったグランドラインの気候が許した過去の島。
完全なる弱肉強食を体現しているその島は、名前から想像されるかわいらしいそれとはかけ離れた現実がある島だが、学者がこの島をリトルガーデンと名付けたことにはもちろんそれなりの理由がある。
その島の名はリトルガーデン。
虎の全長よりも巨大な足跡を残す人間、巨人がいる島。
そう、ここは巨人にとって小さな庭でしかなく、まさにリトルガーデン。
巨人島リトルガーデン。
そこへ――
「間違いない! サボテン島と引き合ってる私たちの次の目的地はあの島よ!」
「あれか〜! グランドライン二つ目の島だぁ!」
――麦わら帽子のドクロを掲げた一斉の船が訪れていた。もちろん、船の名はメリー号。麦わらの一味だ。
船の入江、島の内陸へと続く河口を見つけ、ゆっくりとだが確実にリトルガーデンの内部へと進む彼らだが、一般常識的な観点から見て明らかに常識的なそれを外れているこの島にあって、常識人たるナミやウソップが怖気づかないはずがなかった。
「か、怪物でも出るってのか?」
「こんな植物、私図鑑でも見たことないわ」
見晴らすことを許さないと言わんばかりに生い茂った未知なる植物が彼らの視界を妨げて、それがまた未知という更なる恐怖の感情へとウソップとナミを導いていく。おそるおそる、といった様子のナミが自然とハントの近くへと体を寄せたとき、まるでそれをみはからっていたかのようにギャアギャアという何らかの生物による奇声が響いた。
ただでさえドキドキしている
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