番外5話『そしてリトルガーデン』
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ビビとカルーを乗せた麦わら一味はウイスキーピークを出て、ログポースが指し示す次の島へと針路をとっていた。
既に太陽は沈み、今は完全なる闇の帳が世界を覆う夜の海。
薄く途切れる雲の隙間から洩れる月明かりをその身に照らし、メリー号はグランドラインの海を行く。
頼れるものはログポースと月明かりだけ。ただでさえ警戒が必要なグランドラインの、しかも夜。緊張感すら必要かもしれないほどのこの夜の海原で、二人の男が見張り台で背中を合わせて座っていた。
「……お前いつもこんな暇なことしてんのか?」
不満と欠伸を隠そうともせずに言う船長の言葉を受けて、ハントは呆れたようなため息を落とした。
「あのな、ルフィ。暇なのはありがたいことなんだぞ?」
グランドラインは何が起こるかわからない海。ほんの一瞬の油断が問題を見逃し、船の沈没と乗組員の壊滅を招くことで有名な海だが、だからといってそういった一大事ともいえる問題が間断なく起こるという海でもない。むしろ、まるで海自体が意志をもっているかのように、見張りの人間が油断をした瞬間にこそ問題が起きる海だ。
だからこそ見張り台にたつ人間は常に警戒することのできる人間でなければならず、ある程度信頼のおける人間でなければならない。
現在ルフィとハントが二人で見張り台に居座っているのは、そういうシフトで決まっており今日はたまたまその日だった……わけではない。
ここグランドラインに入ってからの夜の見張りはハントが圧倒的に多い。
それはハントがグランドラインの海をある程度知っている、という理由もあるが、それ以上に消去法だ。
ナミは航海士で、いつでもどんな状況でも問題があれば真っ先に指示を出さなければならない人間で、常に負担を強いられている。航海中もっとも負担の大きい人間だろう。そんな彼女に見張りという役を任せるのはさすがに忍びないという理由から。
サンジは料理人で、朝昼晩の食事を一人で任されている人間だ。彼もまた負担が少ないとはいえないだろう。
ウソップは夜の海が怖いからという理由で夜の見張りは絶対拒否するし、ゾロに任せると筋力トレーニングを始めそうで少し心もとなく、ルフィに任せるのはただ不安というのが理由。となると必然的に一応麦わらのクルーの中では常識的な人間でもあるハントに夜の見張りが任されるというのは必然といえば必然のことかもしれない。
もちろん毎晩がハントというわけでもなく、ハントが辛そうにしている日はゾロを筆頭にサンジ、ウソップだってハントに頼まれれば見張りをすることもある。唯一ルフィだけが夜の見張りをやったことがなかったのだが、なんとなくルフィ本人にそれに対して思うところがあったのかもしれない。
今日という日に突然「俺もやってみてぇ」と言い出し
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