プロローグその3:今日俺寝れなくね?
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頭脳をお持ちでいらっしゃる高町さんの口からをの場をなんとか誤魔化す為の壮絶なシナリオが語られたのであった。
以下はその要約である。
高町さんはペットのフェレット『ユーノ君』と一緒にお散歩をしていた所、突然どこかで叫び声が聞こえたので急いで現場に向かった。
そこに居たのは俺と啓太の二人で、酷く怯えた俺と激昂する啓太を見た高町さんは「なんだろう?」と思って目を凝らすと、その先に居たのは一匹のチワワ。
大の犬嫌いである俺が吼えまくるチワワにビビり腰を抜かしていた所、親友思いの啓太が俺に吼えるチワワに激怒し、一触即発の緊迫した状況となっていた。
懇切公平慈愛心溢れる高町さんは、その場を鎮める為慌てて啓太を止めようとして背後から組み付いて彼を止めようとしていた所に同じく親友思いのアリサ・バニングスさんがそれを見て勘違いし、啓太の『The World of Golden Ball's』を蹴り上げてしまった訳である。
以上、確かにそれっぽい内容だし全く嘘という訳でも無い。
実際ブラック・モロ化したチワワに襲われたのは事実だし、啓太がチワワにアルゼンチン・バックブリーカーをかまそうとして高町さんに止められたのも本当の事だ。
だけどさ…。
何故だろう、大事なモノを守る為に何か大事なモノを失っている気がしてならんのだが。
これが俗に言う等価交換というヤツなのかな…。
目から何か熱い物が伝っている事にも気付かず、俺はそんな事を考えていた。
「へぇ…あっそう、男の癖に犬が怖いとか情けないわね」
俺も確かにそう思う、思うからそんな目で俺を見ないで下さい。
俺そういう性癖無いから、普通に心が張り裂けそうになるから。
「誰にだって苦手なものはあるよアリサちゃん、そんな言い方はどうかと思うの」
ベクトルの違うフォローを有難う高町さん。
元はと言うとあーたのカバーストーリーが原因だからね、そこはしっかりと覚えておけよこん畜生ーーー!
「まぁ良いわ…あ〜あ、勘違いした私が馬鹿みたい」
やれやれと首を振ったバニングスさんは「行こう、なのは」と言って高町さんの手を掴むとそのまま何処へと消えてしまった。
……これから重要な話するんでなかったっけ?あれ?
つーか、啓太にあれだけの仕打ちをしておいてそのままスルーとかあのお嬢さん只者じゃ無ぇな。
そうして住宅街は静かになった……。
まぁ環境音は普通に聞こえるから完全無音じゃないが、さっきの一連の騒ぎに比べればと言う意味だ。
「……生きてるか啓太?」
俺は股間を抑えて蹲ったまま機能停止している啓太に声を掛けてみた。
マジで死んでんじゃねぇだろうな?股間を蹴られてショック死とかシャレにならんぞ……。
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