第三章
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そが最も重要であると言われる。黄金時代の西武なぞはよく第二戦に絶対のエースを先発にした。この時の巨人はそれにならったのだろうか。
だがこの時代は第一戦にこそ絶対のエースを登板させた。南海もそうした。
しかし水原は違っていた。もしかすると第一戦は捨てていたのかも知れない。そう思える起用であった。
南海の先発は田沢芳夫、杉浦の連投はやはりないと思われた。
「今日はあかんな」
大阪球場のファンはそう見ていた。勝てるとは思っていなかった。
案の定一回表いきなり先制された。長嶋のツーランが飛び出たのである。
「やっぱり凄い男やな」
鶴岡はそれを憮然とした顔で見ていた。逃した魚は大きかった。
田沢は一回で降板となった。やはり巨人相手には役不足だった。仕方なく二回から三浦清弘を送る。
彼は何とか巨人打線を抑えてくれていた。だがそれも何時までもつかわからない。
「どうしたもんやろな」
鶴岡は顔を顰めさせた。だが巨人の方も悩みがあった。
「藤田の調子をどう思う」
水原はコーチの一人に尋ねた。
「そうですね」
尋ねられたそのコーチはマウンドにいる藤田を見ながら答えた。
「球威がありませんね。それに変化球も」
「そう思うか」
水原はそれを聞き深刻な顔になった。彼も同じことを思っていたのだ。
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