閑話 一日遅れの St. Valentine's day!
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バレンタインデー――――元々は兵士との結婚を禁じていたローマ帝国で聖ウァレンティヌスが秘密裏に兵士との結婚を取り次いでいたという彼の処刑された日である。その為、世界では男女の愛を誓い合う日なのだが、プラントやオーブでは紆余曲折あってか何故かチョコレートを贈る日になっていた。
「いや、オーブはわかるんだけどね。日本との繋がりが強い国なんだから……でも、何故にプラントはチョコレート文化が発祥したわけ?欧米圏ではチョコ贈る文化なんて主流じゃないでしょうが……普通花とかケーキだろ?クソ、二か月後にブラックデーでも出来ろ!」
彼、クラウ・ハーケンはチョコをもらえずに一日が過ぎ去っていた。確かに彼に本命となる人物はいないし、本命を貰っても正直に言ってしまえば困るだけなのだが、義理チョコの一つぐらいは貰えても、という思いがあるものだ――――面倒な奴である。
「やっぱりここ最近ゲルググやナイチンゲールを造るために開発部に引きこもっていたのが悪かったのか……しかし、ほぼ軟禁状態だったし、有給だって許可が下りなかったんだ。仕方ないだろう……というか開発部にも女性は居たよね?彼女達そんなに世間体気にしないタイプなの?」
なまじ日本やオーブの文化を知っていたのも問題だった。実はプラントには義理チョコなどという文化は存在していない。社交性が高いといえばそうであるが日本人は基本的に空気を読む。義理チョコというのは社会における人間関係を円滑に進めるための一種のアイテムなのだ。
別に嫌ってはいませんよというアピール、本命を隠すためのカモフラージュ、ホワイトデーのお返しを期待する利益重視、周りがやっているからという日和見。つまり、義理チョコというのは内向的ともいえる日本人だからこその発想だろう。彼の出身国であるオーブはそれをそのまま受け継いだために義理チョコの文化が存在していた。
しかし、プラントは元々能力主義の実力社会である。他人の目を気にしない、社交性自体はともかく空気を読むといった意味合いを理解しない、或いは自己主張が激しいといった者が多い為、特別親しい人に贈るチョコはあれど、義理チョコなどというものは存在しないのだ。
「あ、クラウじゃん。どうしたんだよ、こんなところで?」
ぶつぶつと自分に言い訳するかのようにチョコを貰えなかったことに対する呟きをしながら歩いていると、シン達ミネルバのパイロット男性陣と出会った。そう、出会ってしまったのだ!
「シンじゃないか。いや、なに……開発部に引きこもっているのも健康に悪いからナ!散歩でもしようかとオモッテナー、ハハハ」
語尾が上ずっているのは仕方のない事だ。バレンタインデーの翌日というのは貰えなかった人間にとってはとてつもなく恐ろしい話題が存在している。
バ レ ン タ イ ン デ
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