番外3話『クジラのいる双子岬』
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姿が。
「は?」
意味がわからずに首をかしげる一同をおいて、ルフィがマストをふりあげて「ゴムゴムの生け花!」ラブーンの頭へと突き刺した。
「ブオオオオオオ!」
さすがのラブーンでも痛かったらしく、耳をつんざかんばかりの声をあげる。
「何やっとんじゃーーーー!」
突然すぎる意味不明な行為。
全員が激しく叫び、もちろんラブーンもそれで怒らないわけがない。
わけのわからないルフィの行為を発端としてルフィとラブーンの喧嘩が始まった。
ルフィはゴム人間で、ラブーンは超巨大なクジラ。
ルフィの攻撃ではたとえラブーンの目などの急所を殴ってもダメージにもならず、かといってラブーンの攻撃も打撃しかなく、ゴム人間のルフィには全くといっていいほどダメージにはならない。
不毛な戦いが続き、いつ終わるとも知れない戦いに「ルフィ! てめぇいったい何がやりてぇんだ!」とゾロが怒鳴りつける。
「ブオオオオオオオオオ」
ラブーンが瞳に敵意をみなぎらせ、ルフィへとその大きな頭で一撃を加えようとした時。
「引き分けだ!」
ルフィが叫んだ。
いきなりの言葉ではあったが、人語を理解できるラブーンの動きがおそらくは反射的に止まった。
「俺は強いだろうが! 俺とお前の勝負はまだついてないから。俺たちはまた戦わなきゃならないんだ!」
「……」
ラブーンは意味が理解できずに、目をぱちくりとさせて、じっとルフィを見つめている。
「お前の仲間は帰ってくるかわからねぇけど、俺はお前のライバルだ。俺たちがグランドラインを一周したらまたお前に会いに来るから」
「……」
ルフィの真意を、ラブーンが理解した。こぼれる涙がその証拠だ。
そして、ルフィは笑う。
「そしたらまたケンカしよう!」
「ブオオオオオオオオオオオ!」
ラブーンが喜びの声をあげ、ハントを含めたクルーたちの顔にも自然と笑みが浮かぶ。
――でかいなぁ。
ぼんやりと、ハントは船長を見つめて思う。
ハントがルフィたちと一緒に海賊になることを決めたのはただナミといれるから、それだけだった。
ルフィたちと一緒にいて楽しそうだったし、ナミのことを大事に思っているのがわかったから自分もルフィたちといても後悔することはないだろう。ハントにとって、まだまだその程度の認識でしかなかった。
ルフィのことを大きい人間だと思ってはいた彼だが、それも心のどこかではまだ半信半疑でもあった。
要するにまだハントには仲間としていることの意識がどこか薄かったのだ。
ただ、、今の彼のルフィを見る目の色は今までの、どこか腑抜けたそれではない。深い感情のこもった、強い目だ。
――やっぱ、いい船長だ。
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