暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外3話『クジラのいる双子岬』
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ズ。

 ――っ!?

 ほんの少しだけ早めに攻撃を察知して動き始めることができた、という程度では山のように大きな一撃から逃げ切ることは難しく、わずかだかその頭の先がハントにかすった。それだけでもすさまじい威力だったらしく、海中にいたハントが、口からこぼれた気泡を追い越し、海中から海上、空中へと打ち上げられた。まるで滝が逆流してしまったと思われるほどの水量が打ち上げられていることを見てもその威力の大きさが見て取れるというものだろう。

 そのままハントを飲み込んでしまおうとしたのか、クジラがその大きな口をあけて海上へと頭を出した。
 それを、ハントは見逃さない。

「撃水!」

 自分とともに浮かんでいた水の一部を手にのせ、鉄をも穿つ弾丸へと昇華させて放った。いくら巨大なクジラでも口内までは頑丈にはできでいなかったらしく、目を白黒させて「ブオオオオオ」と痛みに頭を振り回す。

 その間に着水したハントは、息をつく間もなく「槍水!」今度は弾丸のそれよりも貫通力の優れた一撃をクジラの頭部へと放った。これも直撃。頭部からわずかにこぼれる血液が一応は聞いている証拠だが、しょせんはこれも薄皮程度のもの。

 ――今なら陸式で!

 ハントの使える技で最も威力が高い技はもちろん陸式だ。水中なら決して使うことのできない技だが、水上に出ている今なら使うことも可能。というよりも今のチャンスを逃せばきっと使うタイミングはないだろう。
 一気に接近してしまおうと動き出した瞬間、慌てて後退。

 その瞬間にハントがいた一瞬前までいた位置めがけてクジラの尾ひれが、海中からアッパーカットの要領で突き上げられて海上へと出現した。ぎりぎりで直撃を避けることに成功したハントだったが、その威力の余波がすさまじく、周辺の水辺ごと打ち上げられてしまった。

「うちみ……なに!?」

 あわてて態勢を整えて、撃水を放とうとしたハントだったがやはりクジラは哺乳類というだけあって賢い。海上にいるのは危険と判断したらしく、水中へと既に身をひるがえしてしまっていた。

「くそっ!」

 もちろん、それを追いかけてハントもまた水中へと潜り込んだのだが――

 ――あれ?

 ハントの目に映ったのは、なぜかその動きを停止させて、ぼんやりと海中に浮かぶクジラの姿だった。

 ――ラッキー……で、いいのか?。

 意味がわからずに、だがそれをチャンスと踏んだハントだったが、次の瞬間にはまた同じように首をかしげて動きを停止させた。
 クジラの体内から徐々に体外へと出ようとしている命が、見聞色で伝わってきたからだ。

 ――……どうやら無事そう、かな。

 自分のやったことに意味は感じられなかったハントだったが、それでも仲間たちが無事そう
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