番外3話『クジラのいる双子岬』
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ていないのか。とにかくクジラは動く様子を見せない。
「に、逃げろ! 今の内だ!」
「まだハントが海の中に!」
「何!? そういやさっき海に飛び込んでたか! 何やってんだあいつ!」
「俺は大丈夫だ! すぐに追いつくから先行ってくれ!」
「で、でも!」
「本人が大丈夫って言ってんだ! いくぞ!」
ナミにしては珍しく食い下がろうとする姿だが海からのハント本人の言葉によりあえなく却下。たしかに今はメリー号の安全が第一の状況だ、ナミもすぐに頷いて――
「――え?」
怒り心頭の様子でルフィが甲板に立っていることに気づいた。
この瞬間、嫌な予感を覚えるのはルフィとある程度の付き合いがあれば当然だろう。
そして残念なことにそれは的中。
「俺の特等席に……何してくれてんだぁ!」
言葉のままに腕を伸ばし、そして『ゴムゴムの銃』をメリー号よりも大きなクジラの瞳へとたたきつけた。
「アホーーーーーーー!」
この一撃を受けたクジラが、それでもメリー号の存在に気づかない……なんてことがあるわけがない。
ルフィ以外の全員の断末魔に近い声が響く中、案の定クジラの瞳がついにメリー号へと向けられてしまった。
「かかってこい! このやろう!」
「てめぇもう黙れ!」
あくまでも喧嘩をしかけようとするルフィにゾロとウソップの蹴り突っ込みが入ったものの、時すでに遅し。クジラが口を開けて、メリー号が浮かぶ一帯の水を呑みこみ始めた。
「っこれだから大型生物は!」
苛立たしげに言葉を吐き出したのはほかの誰でもない、一人海中で行動しようとしていたハントだ。唯一海にいても陸地にいるかのように動ける彼はほとんど反射的に海中から飛び出して、近くにあって岸壁へとその身をおろす。
「みんなっ!」
船を探すが、既にメリー号の姿は見当たらない。クジラの標的にされてしまったメリー号は一飲みにされてしまったからだ。
「どうしよう」
周辺の水ごと、一気にメリー号を飲みこんだあの勢いならば船員たちがメリー号と共に噛み砕かれて死んでしまったという状況はなさそう。
ということぐらいはハントにもわかるが、だからといって放っておけばそのまま消化されてTHE・ENDだ。
「……ま、やるしかないか」
軽く準備運動をして、そのまま海中へと身をひるがえそうとしているクジラをにらみつける。
――さすがに深海に行かれたらこっちがもたない。まずは気を引いて……腹をぶんなぐってあいつらを吐き出させてやる。
「……このサイズはさすがに自信ないなぁ」
自分の思考に対して、まるで愚痴を吐き出すかのように言葉を落とす。
魚人島から東の海に戻る時にカームベルトを渡り、目の前のクジラ級に大き
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