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偽典 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第8章 そして、伝説へ・・・
第肆話 離別
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の話よ!
もとに戻れるわけないわ」
テルルは、俺に問題点を追及する。
どうやら、精霊ルビスは総てを二人に伝えたわけではないようだ。
「戻れるのだよ、それが」
(ええ、あちらの世界で経過した時間は、数日後のようです)
俺の言葉に、精霊ルビスが補足する。
力を取り戻したおかげで、元に戻った場合の状況も把握できたようだ。

「でも、それでも!」
テルルは俺への追及を止めなかった。
「ここでの生活を残して、旅立つと言うの!
そんなに、この世界よりも前の世界が良いというの!
許さないから、絶対に許さないから!」
テルルの言葉は、もはや叫び声になっていた。


「確かに、あちらのほうが便利な世の中だった。
そして、あちらの世界の記憶は薄くなっている。
ここには、家族や大切な仲間がいる」
俺は、落ち着いて、ゆっくりと答える。
「だったら!」
「だが、やり残したことが全くないわけではない。
おそらく、この世界に来るときの過程で、多くの人に迷惑をかけたはずだ。
その人たちには、何も残さなかった」


「だから、俺は戻れるのなら、やり直すことができるのなら」
俺は、一度言葉を切って、
「俺は、戻る。
幸い、俺はここでの目的を果たすことが出来た」
「・・・・・・魔王バラモス、いいえ、大魔王ゾーマを倒すことね・・・・・・」
「・・・・・・そんな、ところか」
俺は、ようやく落ち着いてきた、テルルの言葉にうなづく。
多少異なるが、わざわざ説明することもないだろう。

「違うの?」
セレンが、静かに質問する。
「勇者が魔王バラモスや大魔王ゾーマを倒して世界が平和になることを、アーベルは知っていたのでしょう。
だったら、アーベルが参加しなくても問題はなかった。
現に、三姉妹は大魔王よりも強いと言い切っていました」
「そういえば、そんなことも言ったわね」
テルルが俺をにらむ。


「そうだな」
俺は、下手なことを言っては、時間がかかることを確信した。
「普通なら、勇者はアリアハン王の命令に従い、目にみえる脅威の魔王バラモスを倒す。
バラモスを倒した勇者達は、平和になった世界で、アリアハンに凱旋し、王に報告する」

「そこで、大魔王ゾーマの影が登場し、雷とともに場内にいた兵士を倒す」
俺は、自分でも驚くほど冷静に説明した。
「そうだったの・・・・・・」
「ああ、そういうことだ」
納得した表情のテルルに、俺はうなづいた。

「それがなかったら、適当に暮らしていたのだろうな」
「だったら!」
「でも、知ってしまった」
俺は断言する。
「前の世界に帰ることができると言うことを」


テルルは、別の視点で俺に反論を試みた。
「今じゃなくていいじゃない!」
「いや、戻るのなら
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