第四十七話 思春期@
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イカさんみたいに理数得意じゃないんだからさ。というか、俺の周りに理数ができる人が多い気がする。
……おかしい。いつの間に俺の周りにインテルが入ったんだ。
「お前、本当にそれでよくあの試験が受かったよな。お前でも資格が取れてしまうこの世界に、若干不安を感じてしまうんだが」
「エイカさん、副官さんと同じことを言わないでください」
『合格発表の時、ますたー自身受かったことに信じられなくて、声をあげて驚いていましたものね』
「コーラルさん、あれは俺にとって黒歴史だから言わないでください」
『すぐに音声再生ができちゃったりして…』
「ウィン、わたあめを買ってあげる。なので、ちょっとあそこの浮遊物をパッチンしてきて」
賑やかなお祭りに悲鳴が響き渡ったが、雑踏ですぐに消えていった。わたあめにご機嫌な妹の様子に、俺は満足した。
「それはそうとエイカだって、なんだかんだ言って変わったんじゃないか?」
「なっ…! い、言っておくがこの格好は、ちきゅうやで急に着せられただけだからな!」
俺の視線が自身の服装に向いていることに気づいたのか、慌てて弁解のような言葉を重ねるエイカ。彼女もウィンや他の女の子たち同様に、浴衣を身に着けていた。たぶん女の子組と奥さんに押し切られたんだろうな。その情景がありありと思い浮かぶ。
身長がだいたい俺と同じぐらいにまで成長した彼女は、少なくとも男に間違えられることは少なくなった。今なんて浴衣を着ているので、間違えられることはない。赤茶色の髪は少し伸び、琥珀色の目は強く輝いている。藤黄色の生地に薄紅色の刺繍が施され、綺麗な花が咲いていた。
さすが奥さん、みんなのことをよく見ている。女の子組は今年は全員浴衣を着るのだと、アリシアが教えてくれていたからな。みんなすごく似合っていた。少年Cがそれをあまりにも眼見しすぎて、クイントに居合拳をぶっ放されていたぐらいである。
「……どうせ、変なんだろ。俺だってそれぐらいわかってんだよ」
ちょっと意識を飛ばしていたら、慌てていたエイカの意識が帰ってきていたらしい。俺の無言に、彼女は顔を背けて言葉を紡ぐ。どうやら無言の理由を誤解されたようだ。
それは大変心外だ。いじるのは好きだが、俺は基本的に本心を偽ることはしないぞ。
「すごくよく似合っているに決まっているだろ。髪だって後ろでまとめられていて、髪飾りが映えているし、浴衣もエイカの色と合っていてぴったりだ。俺は好きだぞ、そういうの」
「……なッ! …………えッ!?」
なので本心で褒め殺しました。エイカの反応が面白くて、にやけてしまったのはご愛嬌。
「おまッ! ……からかうんじゃねぇ!」
「本心、まじで本心!」
「にやにやしといて、何言ってんだ!?」
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