第四十七話 思春期@
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「んぐっ。……そういえば、さっき左手で変な動きをしていたが、あれは何をしていたんだ」
「左手って、金魚を壁際に誘い込んだ時のやつ?」
「あぁ、たぶんそれ。いきなり水槽に向かって手を振ったり伸ばしたりし出して、また頭がおかしくなったのかと思った」
エイカさんにとって、俺の行動は常におかしいらしいです。
「あれは、金魚の習性を使ったんだ。ほら、あの水槽にいるのはチート金魚だけじゃないだろ。普通の金魚も泳いでいるからさ。金魚って影ができたら逃げる習性があって、それを使って壁際まで誘導したんだ。次に影がずっと同じ場所にあると、今度は逆に集まる習性を使って、壁際に金魚の壁を作ったんだ」
『ますたーが屋台の照明の位置を気にされていたのは、そのためでしたか』
「……ここまで素直に賞賛できない、知識も努力もないな」
ちなみに俺の知識と努力に戦慄してくれたのは、男のお客さんだけだった。
「まぁ、来年は小細工なしで勝ってみせるけどな」
『ほぉ、言ったな。面白い。我を見くびるなよ、少年』
俺と金魚の間にメラメラと闘志が迸る。互いをライバルと認め合い、そしてこれからも精進していくのだろう。これが男の友情か。青春の代名詞とされる努力と根性の果てなきロード。俺たちは今後も勝負し続けるんだろうなー。
「にぃにー。次は私が金魚さんとしょーぶしたい」
「ウィンが?」
『む。しかし女の子と争うなど金魚としてな…』
「金魚さん……だめ?」
『だめじゃないさ。レディの願いを聴くのが、紳士というものだ。……だが、我は勝負なら手を抜かん。それでも挑むというのか?』
「はい、お願いします!」
「……なんでこいつら、普通に金魚と会話してんだろ」
ちなみに開始4秒で掬われた。
******
今年の夏祭りは、ウィンとコーラルとエイカの4人でまわっていた。アリシアはいつもの女子メンバーと一緒に楽しんでいるのだろう。男連中は今回屋台を任せられたらしく、頑張っているらしい。俺とエイカはちきゅうやでバイトをしているので、楽しむ方にまわらせてもらった。
あとであいつらの店にでも寄らせていただくかな、と予定を立てながら俺たちは祭りの中を歩いていく。ちなみにウィンが一緒にいるのは、去年はねぇねとまわったから、今年はにぃにとまわると言ってくれたからだ。うん、金魚すくいで俺がはじけたのは仕方がないことだな。
「お前って、昔から全然変わらないよな」
「そうか? 身長は伸びたし、この前だって図形の問題が解けたんだぜ」
「お前の変わる基準そこかよ。あと図形の求め方ぐらいさっさと覚えておけ」
いやいや。以前の俺と比べたら、すごいレベルアップしているから。だって図形問題が解けるようになったんだよ? エ
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