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少女1人>リリカルマジカル
第四十七話 思春期@
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らい経ったのだろう。それすらわからなくなるぐらい、熱くなっている自身の心を落ち着かせる。この強敵とここまで戦えるようになったのは、決して自分1人の力だけではない。俺には支えてくれた仲間たちがいるのだから。

 思い出せ、友人たちからの指導を。視野を狭めてはならない。敵と対峙した時、目を離さないことは当然だが、それに囚われすぎれば、こちらが足元を掬われる。全体を見据え、環境の変化を常に頭の中に入れておく必要がある。

 クイントから教わった身体の動かし方、メガーヌから教わった戦術指導、そしてメェーちゃんから教わったマルチタスク。そして、応援してくれる仲間たち。そのどれもが不可欠なものであり、俺に力を与えてくれた。


「……ジリ貧か」

 それでも徐々に削られる体力に、息が上がっていく。真正面からやりあっても、決定打は作れない。もともとやつのフィールドの上での戦い。最初から有利なのは、向こうなのはわかっていた。まずは同じ舞台に立つために、防御に専念し続けたが、そろそろこちらも動かなければまずい。

 俺は右手を捻り、斜めからの一線を繰り出した。自身にとって完璧なタイミングで放った一撃。だが、俺の攻撃をやつは鮮やかに回避してしまう。元からやつのスピードに追い付いていない俺では、相手を捕らえることなどできない。その悔しさに唇を噛みしめた。

 このまま押し切ってみるか、と自問し、無理だと答えが出る。ならばどうするか、どうしたら勝てるのか。俺が対処できないのは、やつの速さだ。ならば、その速ささえ削ってしまえばいい。そのための準備に静かに周りを見渡し、そして俺は口元に笑みを浮かべた。


 限られたフィールドでの戦い。それは必ず壁が存在するのだ。俺はやつに気づかれないように壁際に移動していく。さらに空いている左手で仕掛けを施していた。俺の無駄知識をなめるなよ。どうでもいいことを覚えるのは、俺の十八番だからな。

『―――!』

 相手の動きが変わったことに、俺は作戦が気づかれたことを悟る。だが、すでに手遅れだ。壁際への移動に成功し、さらにやつの隣には新たな壁が作り上がっていた。俺が仕掛けた罠によってできた壁。つまり、俺とやつとの間に一直線の道ができたのだ。それは同時に、俺自身も回避が困難になってしまう状況だが、仕方がない。

 互いに逃げられない状況。ならば、あとは打ち合うのみ。やつもそれを悟ったのか、一直線にこちらに向かってくる。追えないのならば、向かわせればいい。勝負は一瞬。俺は右手の武器をしっかりと構え、こちらもやつに向かい渾身の一撃を打ち込む。

 相手も迎撃態勢をつくる。お互いに交差し合うその瞬間―――

「―――ッな!?」

 忽然とやつの姿が消えた。違う、俺の攻撃のタイミングを読んで、回避したのだ。
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