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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
エピローグ
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口を閉じた。ただ言いたいことは多々あるようで、むすっとした顔でこちらを見たままだ。こういう姿を見ると、ただの女の子にしか見えない。

「夜月くんって意外といじわるだね」
「……じゃあもうひとつ、いじわるなことを言おうか。今ならまだ元の生活に戻れる可能性がある。今日までのことをなかったことにするつもりはないか?」

 高町がこのまま魔法に関わっていれば、性格も相まって辛い経験や悲しい思いをたくさん味わうことになるだろう。管理局で働くとするならば、危険とは隣り合わせ。周囲の人間の心配は絶えないはずだ。地球で周囲と変わらない生活を送るほうが幸せなのではないか。
 俺の考えていることを高町は感じ取ったのか、先ほどのように怒声を上げることはなく、静かだが力強い声で返事を返してきた。

「そのつもりはないよ」
「……そうか」
「心配してくれてありがとう」
「……君に対する心配はそこまでしてないけどね」
「何で真顔で言うの!?」

 ★

 久しぶりに自宅で迎えた朝。目覚ましとなったのはアラームではなく、管理局からの連絡だった。内容はテスタロッサの裁判の日程が決まったため、来週から本局の方へ身柄が移ること。少しだけ話す時間を作ったので話さないかということだった。
 短い時間しか会話できないのなら、同じように連絡が行っているであろう高町に譲ったのほうがいいという気分になる。だがテスタロッサは高町だけでなく、俺にも会いたがっているとのこと。
 それに……個人的にも、彼女に一言だけでも謝っておかないとな。そうしないと、いつまでも胸の内がもやもやしそうだ。
 身支度を済ませると、指示された場所へと向かう。
 目的地には私服姿のテスタロッサにアルフ、制服姿のクロノと高町の姿があった。急いで向かったのだが、どうやら高町の方が早かったらしい。

「僕達は向こうにいるよ」

 クロノ達は高町達がふたりで話せるように気を利かせたようで離れ始める。
 ふとクロノ達と目が合い、ふたりの方へ行くようにジェスチャーで指示されるが、俺はそれに首を横に振って返した。

「フェイトに会いに来たんだろ?」
「俺は高町と違って、一言挨拶をしに来ただけだよ。それにあのふたりは何度もぶつかって今に至る。できるだけ話をさせてやりたいんだ」

 納得してくれたのか、それ以上は何も言わなかった。一緒に高町達から距離を取る中、ちらりとふたりの様子を確認する。
 はたから見ても、あのふたりから発せられる雰囲気は独特だよな。あそこに割って入れるのは、空気が読めない人間か仕方がない場合だけだろう。
 ベンチに座って見ていると、ふたりは見詰め合ったまま何かを言い始めた。アルフは聞こえているかもしれないと思い、何気なく聞いてみるとテスタロッサが友達になるにはどうした
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