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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第66話 第二の圏内殺人
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…どうした」
その返事をする為に振り返った瞬間には、彼の目はいつもの黒い瞳に戻っていた。
「いやね!今……っ! ……ううん。なんでもない」
レイナは、必要以上に聞こうとしたが止めた。さっきのは気のせいかも知れない、見間違いかもしれない。それに、今はそれ所じゃないから。アスナはシュミットの傍でまだ警戒をしてくれている。
さっきのフードの人物がここに来ないとも限らないんだから。
「……攻略組プレイヤーとして情けないが……オレは暫くフィールドに出る気になれない。BOSS攻略パーティは俺抜きで編成してくれ。それと……」
かつての彼の剛毅さがすっかり抜け落ちた虚ろな表情でギルド聖竜連合のリーダー職を務めるランス使いは呟いた。
「……これから、オレをDDAの本部にまで送ってくれ。頼む……」
この時、この男を臆病だと思う事など誰も出来なかった。心底怯えた巨漢を中央に挟み、57層の宿屋から転移門経由で56層の聖竜本部にまで送っていった。
シュミットが何よりも心強く感じたのがその時のリュウキの言葉だった。
『……オレが周囲を視ている。何処からくるか判らないからな。今度は視逃さない』
それは、いつも通りの何気ない言葉だったが、皆が力強く聞こえた。
シュミットも少しだけだが安心できた。
彼を送っていく道中、襲撃は何も無く、無事に本部にまで送る事が出来たのだった。
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