XIV
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。
珍しいことに何かして欲しいことでもあるようだ。
「じゃ、じゃあ一つだけ良いかな?」
「良いよ。言ってみな」
「私、憧れてたことがあって……」
憧れと来たか。
金銭で叶えられるものならば大丈夫だと思うが一体……
「学校をサボって制服のまま、友達や……す、好きな人と遊びに行きたいなって」
……ああ、成る程。
そこらに転がってる学生なら誰もが一度は経験したことのあるものだ。
けど、風花にとっては違う。
まるで別の世界の出来事のように映っていただろうから。
「キーくんって不良さんだからそういうの得意でしょ?」
「得意って言うか……」
いやまあ、確かにそういう方面に疎いわけではないから付き合うのも吝かではない。
問題があるとすれば、
「……俺、制服あったかな?」
最後に登校したの何時だったか、一年の時だぞ。
その時に着た制服をどこに仕舞ったのだろう?
「ちょっと待ってろ」
部屋の中にあるクローゼットを開けると乱雑に服が収められている。
多分この中にあるような気がしないでもないが……
「あ、それじゃない?」
「お、これだ」
ブレザーとズボンがクシャクシャのまま置かれている。
しかし、これでは少々みっともない。
と言うかもう夏も近いからブレザーなんて着てられないから……
「夏用もあるはずだ。そっちはまだマシだと思うんだがな」
更に奥を探ってみると奥の奥に夏用のズボンがあった。
こっちはそれなりに綺麗なままだ。
シャツも――うん、これならいける。
学校指定の夏用のワイシャツもあった、これで準備は万全だ。
「じゃあ、早速行くか――いや、その前にお前も制服に着替えて来いよ」
一旦家に帰って着替えた方が良いだろう。
男なら別に一日二日着替えなくても平気だが、風花は女だからそういうわけにもいかない。
「う、うん。けど、こんな時間から?」
随分話し込んでいたが時刻はまだ八時を少し過ぎた頃だ。
遊ぶにはまだ早いと言えるが、そんなことはない。
二十四時間営業のカラオケや、朝からやってるゲーセンなんかも知ってる。
もしくはどこぞのファストフード店で朝食を摂るのも悪くない。
「ああ。まあ、俺に任せとけって」
「分かった。じゃあ、ちょっと待っててね?」
「了解。外で待ってるからよ」
二人して家を出る、風花はそのまま隣の自宅へ。
俺は胸ポッケに入れた煙草を取り出して口に持っていき火を点ける。
「ふぅ……しかし、制服なんざ久しぶりだわ」
朝の済んだ空気に紫煙が溶けていく。
ご近所の人間や通りすがった奴らが奇異の目で見ているが無視だ。
制服で吸っているか
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