XIV
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「それでも自分で選んだ道だから――――私を胸を張って歩きたい」
その時だった――――風花の身体からペルソナが飛び出し、形を変えたのは。
ペルソナの覚醒から僅か一日で訪れた異変。
けれども風花はそれを当然のように受け止めていた。
「ペルソナはもう一人の自分。殻を破れたってことかな?」
照れ臭そうに笑うコイツを見て、改めて俺は敬意を抱いた。
人は小さな切っ掛けさえあれば変われる、成長出来るのだ。
蛹から羽化した蝶のように、どこまでも高く飛べる。
地を這う蛇のような俺とは違う――――ああ、綺麗だ。
「ユノ、これからよろしくね?」
ユノ、ゼウスの妻である女神。
人と人を結びつきを象徴する神なのだが……おっかなさも感じる。
神話において浮気性の夫の不貞を幾度となく察知した恐るべき情報収集能力。
探知系のペルソナとしては納得だが、男としては薄ら寒いものも感じてしまう。
「なあ風花、それは探知能力が強化されたってことだよな?」
「う、うん。ルキアを使ったのは昨日が初めてだったけど……強化されてると思う」
「じゃあ、俺を見てくれないか? カルキ――俺のペルソナはどうにも変なんだ」
チドリが言っていた全力を出せていない原因なども分かるかもしれない。
そんな期待を込めて風花を見つめる。
「うん、ちょっと待ってね」
俺から少し離れ、祈りの姿勢を取る風花、その身体がペルソナに包まれる。
全身を覗かれているような感覚が俺をくすぐるが……どうだ?
「……え、何これ?」
困惑の声が漏れ出る。
「リミッター? それにこのスキル……」
「風花、何か分かったのか?」
「あ、ごめん。何か分かったって言うより……何も分からないって言った方が正しいのかもしれない」
「それはどういう?」
「カルキはリミッターのようなもので力を抑圧してる。それが多分、あの鎖なんだろうけど……」
それは俺も予想していたことだ。
問題は鎖と外套で覆われた中身。
「表層しか覗けないの。酷いジャミングがされてて……」
「そうか。それで十分だ」
恐らくは探知系でもかなりの精度を誇るユノですら覗けない何かがあるのが分かった。
それだけでも一つ収穫と言えるだろう。
「後、スキルがどうとかってのは?」
「えっと……私の能力で得た情報は視覚的に表現されるの」
ゲームのステータスのように、と風花は補足を入れる。
「覚えている魔法なんかも列挙されるんだけど……その中に変なスキルがあって」
「具体的には?」
「炎の魔法ならアギとかそんな名前が表示されてるんだけど、それは塗り潰されてるの」
「塗り潰されている?」
「うん。黒いインクでベタ! って
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