暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
幕間『漸動』
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つきながらぼやく鈴だが、
「ちょっと……ナニよ、その顔は……!?」
一同は何故か、目を丸くして驚いていた。
「……そりゃあ、この前までの暴力的なお前しか知らないからだろ」
「なっ……!?」
修夜にツッコまれ、鈴はいつもの調子で怒ろうとする。
しかしながら、身を乗り出そうとしたところで皆の気まずい顔を見てしまい、釈然としないまま矛を収めるのだった。
「そういえば、箒のその包みってなんだ?」
一夏が問うたのは、箒がテーブルの脇に置いていた包みのことだった。
紫色の綺麗な袱紗(ふくさ)をに包まれており、何やら箱状のものが包まれている。
そして持ち主である箒はというと、何故か変に緊張して硬くなっていた。
「……じ、実は、私も……作ってみたんだ……」
箒がおずおずと言いながら包みを広げると、そこにはタッパーウェア型の弁当箱があった。
フタを開けてみると、中から炒飯が顔を出した。
「へぇー、箒も料理出来たんだ」
「しっ、失礼な……!」
不躾な発言をする一夏だが、箒と同室だったときの食事は一夏が作るか、寮内の食堂を利用するかの二択だった。
なので一夏は、箒が料理をしている場面に出くわしていないのだ。
「ふむ……、見た目は割とまともだな」
「しゅ……修夜まで……!」
「あ、悪い……。ついクセでな」
料理人として、他人の料理が気になってしまう。これもまた、修夜の習性である。
「でもちょっと、色薄くない? ホントに味付けしたの?」
「なっ……!?」
横からつっけんどんに言い放つ鈴に、箒がムッとした顔をする。
実はこの二人、まだ完全に打ち解けていないのだ。
打ち解けていないというより、一夏のハートを狙う者同士として、簡単には相容れないのだ。
これでも随分とマシになった方で、特に鈴の態度は軟化した方である。
「まぁまぁ、せっかく作ってくれたんだし、みんなで食べようぜ。なっ…?」
気まずい雰囲気をかき消すように、一夏が割って入り、話を進めていく。
「そうだな、“色は”ともかく味を見てみないと、判断はできないな」
「……ちょっと」
「なんだ?」
「何でわざわざ『色は』、なんて強調するのよ……」
「さっきの玉子焼きの表面は、チョコレートコーティングか何か?」
「ぐっ……」
実は先ほどまで、鈴の弁当には“焦げて茶色くなった玉子焼き”があった。
見た目にと正体のギャップゆえに、誰も手を出したがらなかったのだ。
しかし紅耀がまず箸を伸ばして口に運び、「硬いけどちゃんと美味しい」と言って食べると、続いて一夏が箸を伸ばして「うん、たしかに。硬いけどイケる」と胃の中に収めたのだった。
紅耀に救われた鈴だったが、そうでなければ売れ残りは必死だっただろうことを指摘され、またしても怒りを収める結果にされてしまう。
「う〜ん、
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