暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
幕間『漸動』
[5/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
るのが束なのである。
「機械の扱いはよくは分からん、しかし術を用いてこやつを騙すぐらいは造作もないぞ」
「だだ、だ……騙す……?」
「そう……『こ〜んにゃ風にね〜?』」
「ふぇぇぇぇええっ!?」
白夜の喉から、どういう訳か束の声が発せられた。
「『そ〜してっ、こんな感じにも〜!』」
「うひゃぁぁぁああっ!?」
白夜がその場で一回転した瞬間、独特の衣装が一瞬で空色のドレスに変わり、銀髪も赤毛の長髪へと変化した。凛々しい顔も、垂れ目のおっとりとした風貌になり、頭には硬質素材のウサギ耳カチューシャが……。
「ぁわゎわゎゎわゎゎわっ……!?」
「ふふふっ、そういえばお前さんに見せるのは、これがお初じゃったかな?」
束の姿をした白夜が、束の顔で本物に語りかける。まるで古典怪談の一幕である。
「<自在変化(じざいへんげ)の法>――、わしの十八番じゃよ。その気になれば指の紋、目の紋、五臓六腑に血の道の並び、血の質も体液も、秘所の形から具合まで……。お前の(くし)の数本もあれば造作もない」
自分の力の一片を語る白夜だが、明晰な頭脳の許容量を遥かに超える怪奇現象と、このあとに待っているであろう“悲惨な現実”を予感して、既に束の思考回路は停止寸前であった。
またその場で一回転し、元の姿に戻った白夜はゆったりと束へと歩み寄っていく。
「びや……白夜…さん……、何でこっちに、よ…寄って来てるんですかぁ〜……!?」
「寄らねば出来んではないか――“仕置き”が……」
束の嫌な予感は、見事に的中してしまった。
どうにか逃げなければ……。
そう考えるも、どんな策を弄してみても出る答えは“無理”の一択だけ。
考える間に白夜はどんどん近寄ってくる。
「あ……あの、白夜さん……、ここはひとつ、ご容赦してくれる……ていうのは……?」
束は顔を引きつらせながらも、何とか笑顔を作って、ご機嫌を窺ってはみる。
「なぁに、冥土法界の境を三周もする頃には、気分も変わっておるだろうて」
にこやかに、そして限りなく冷ややかに、骨董の微笑で白夜は返答し、さらに近寄る。
とうとう、手を伸ばせば届く範囲にまで近付かれてしまった。
「さて……覚悟は良いか、大うつけ?」
ビクビクしている束に対し、にっこりと笑う白夜。
ウサギを追い詰めた獣は、おもむろにその右手で顔を鷲掴んだ。
そして――

「さぁ、“我ノ目ヲ見ヨ、篠ノ之束”」
「ふぐっ……!?」


「『仙眼(せんがん)夢幻廊獄(むげんろうごく)――冥土苦輪(めいどくりん)』……!!」


「ひにゃああああぁぁぁぁぁあああ……!!!!」


程なくして、束の断末魔が施設中に響き渡り、南海の青空に消えていった。


――それから十数分後……。

「あぅあぅあぅ……。お
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ