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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
幕間『漸動』
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音っ!?」
慌てて傍にいた鈴が駆け寄って体を揺するも、本音は顔を青くしたままピクリとも動かない。
あまりの出来事に、全員に衝撃が走った。
「セシリア、お前いったい何を入れたんだ……!?」
「わ……わたくしは、な……何も……変なものは……!」
混乱するテーブル。
そこに追い打ちをかけるように、


――どさっ


今度は紅耀が気を失った。

「くーぅっ!?」
義妹の非常事態に、さすがの修夜も慌てふためく。
急いで抱き起して体を揺すってみるも、やはり青い顔でぐったりとしている。
「セシリア、どういう方法で作ったんだよ、このスコーン!?」
「わっ、わたくしは、チェルシーさんのおっしゃった通りに……!」
戦慄しながら問いただす一夏に、セシリアはただオロオロと弁明するばかり。
「うっ……!」
すると今度は修夜が苦しげに呻く。
見ると、紅耀のかじったスコーンの反対側が欠けている。
「修夜、まさかお前……!」
「だ……大丈夫……だ……!」
心配で身を乗り出した箒を無言で制止し、手元にあったお茶を飲んで口の中のものを流し込む。
「…………わかった。どうりで不味いはずだ」
「分かったのか!?」
「ベーキングパウダーの入れ過ぎだ、そりゃ滅茶苦茶苦いワケだわ……。それから“異常に塩辛い”……!」
「……塩辛い?」
修夜の言葉に、一夏のみならず全員が首をかしげた。
「セシリア、確かにチェルシーさんの言った通りにやったんだよな?」
「も、もちろんですわ……!」
「材料はちゃんと確認したよな?」
「は、はい……!」
「それじゃあセシリアが調理中に、チェルシーさんは付いていたか?」
この修夜の質問に、セシリアの顔が渋くなった。
「い……いいえ、そのときは……丁度、夕飯(ディナー)のためにお買い物に出てしまわれまして……」
セシリアが言うには、材料の準備までは一緒だったのだが、調理に入る段階で冷蔵庫の中身がかなり減っていたことを思い出して、買出しに出たらしいのだ。
このときチェルシーは帰ってから再開することを提案したのだが、セシリアは「大丈夫ですから」と言ってチェルシーを送り出し、自分はチェルシーの残してくれたレシピに従ってスコーンを作ったというのだ。
「……計量はどうしたんだ?」
「計量……ですか……? チェルシーさんはいつも、スプーンで目分量でしたから……」
「それは多分、計量スプーンでちゃんと量ってるよ……。あと料理も慣れてくると、ある程度の目分量でも味の調整はきくようになるし……。それと砂糖と塩とベーキングパウダーは、ちゃんと確認したか……?」
「……えっと、その……途中で……」
「分からなくなったんだな……?」
「も、申し訳……ありません……」
「ついでに、味見はしたのか?」
「い……
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