暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
幕間『漸動』
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する一同を余所に、紅耀は箒の方に向き直って彼女を見つめる。
「……炒飯、美味しかったです。次はもっと美味しいの、お願いするです」
「紅耀……」
小さな少女の大きな心意気に、箒は強く胸を打たれるのだった。
「……修夜、一夏」
箒はおもむろに立ち上がり、二人に向き直った。
「頼む、私に料理を教えてくれ!」
何のためらいもなく、修夜に向かって頭を下げる。
「お、おい、箒……」
突然の行動に驚く一夏だが、すぐさま修夜がそれを手をかざして牽制する。
「何となくできるなんて言い聞かせてみたが、やっぱり私だけじゃ無理だ。……ホントは、味が薄いのも分かっていたんだ。でも、大丈夫だって、自分をごまかして……。本当にごめんなさい……!」
真っ直ぐに謝ってくる箒を見て、一呼吸置いて修夜は箒を見据えた。
「……言っておくが、幼馴染だからって容赦はしないぞ。やるなら全力でついて来い、それでいいなら俺も出来る限り付き合う」
「修夜……」
「どうする……?」
「……やる、やらせてくれ!」
真っ直ぐ見据えてくる修夜の目を、箒も負けじと見つめ返す。
それはしばしの沈黙となり、テーブルを張り詰めた雰囲気で支配していく。
「……よし、わかった。それじゃ日程を決めて、特訓の予定を組んでいこう」
料理名人からの了承の一言に、卓上の緊張は一気に緩和していった。
「もう一度言うけど、ホントに容赦しないからな?」
「わ……わかった、全力でついていく……!」
こうして箒は、修夜の料理塾の門下となることが決定した。
「あの、ちょっとよろしいでしょうか?」
その直後、今度はセシリアが話題を切り出してきた。
同時に小脇においていた紙袋から、何やら箱を取り出す。
「実はチェルシーさんに習って、スコーンを作ってみたんです。よろしければ、お一ついかがでしょうか?」
そう言ってフタを空けると、中からは可愛らしい焼き菓子が登場した。
丁度、人数分の数が揃っている。
「へぇ〜、美味しそうじゃん!」
「スコーンか、なかなか良い感じだな……」
名人二人からの反応はまずまずである。
「セシリア、これってもしかして……?」
「はい、例の賭けの……」
修夜と鈴の試合にて、セシリアが思い付きでおこなった賭けがあったのだが、敢えて鈴に賭けていたセシリアは、負けた対価として“美味しいものをご馳走する”と約束していたのだ。
「わぁ、どれも美味しそうだね〜」
「本音さん、いかがです?」
「いいの? やった〜、一番乗り〜! いただきま〜す」
セシリアに勧められ、意気揚々と最初の一個にかぶりついた本音。
……だったが――

「…………」

一口かじったまま、動かなくなってしまった。
そして――


――どさり


そのまま気絶した。

「ほ……本
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