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正義と悪徳の狭間で
導入編
麻帆良編
導入編 第8.5-M話 千雨という少女
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「…今日は観客もいたから尚更だ」

敵意が無かったから放置したが私達の舞台を覗いていた者がいる。
そう、私だけが独占できるはずだったレインの歌声を

まあ、覗き自体は少し残念だがそこまで気にしていない。
むしろ途中まで気付かなかった自分に腹が立つ。

「何…何処だ」
レインが辺りを見渡す…レインとそいつの目があう
「見事な隠行術だった。途中まで気付かなかったよ、長瀬」
そう、覗いていたのは同じ組になった長瀬楓だ。
最初は単純に気配が無いのではなく、一流のスナイパーの様に周囲に溶け込んでいた。
だが歌の途中で気配が動き、見つける事ができた。

「いやはや、入浴前に夜風に当たりに来たら二人が楽しそうに踊っていたのでつい見学させてもらったでござるよ。
不快に思われたなら申し訳ない、謝罪する」
ゴム製の訓練用とはいえとはいえ、ナイフ格闘をしながらのダンスにその反応…な

「かまわないさ。好んで見せる様なものじゃないが見られて困る様な事じゃない」
千雨がそう言いながらアンブレラのペンダントを取り出す。
「そういっていただけると幸いでござる。スマヌが、双子を待たせているのでお先に失礼するでござる」
アンブレラのペンダントには反応なし…

「ああ、私達も少ししたら風呂に行くよ。それとここでのことは皆には言わないでくれ、また歌をさせられる口実が増える」
「そうでござるな、『お互い』あまり知られたくない事の一つや二つもあるでござろう!」
直後、長瀬の姿が掻き消える…忍びの類かな、あいつは。

「私達も行こうか、マナ」
「ああ、そうしよう、千雨」
こうして私の、私達の麻帆良生活は始まる事となった。

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