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正義と悪徳の狭間で
導入編
麻帆良編
導入編 第8.5-M話 千雨という少女
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善良…かどうかはともかく、気の良い奴なんだがミードやカルーアみたいな甘い酒が大好きなのだけ…ではないがそう言った所がタマに傷だ。





入学式の日にクラスで結成式と称してパーティーをした。
こういうバカ騒ぎはしばしば経験したが戦場、四音階の組み鈴、ロアナプラ、そのどれとも違っていて新鮮だった。
お目当ての曲は歌わせられなかったが、レインの歌声を皆で楽しめたし…その歌声を今晩は私だけが独占できる。

入浴を済ませて就寝またはパジャマパーティーに移行となった隙に、桜咲に先に大浴場に向かう様に告げた上で私達は抜け出して屋上に行った。
「さ、曲目は?何を歌えば良い?」
「『the world of midnight』だけ…と言いたいが『Red fraction』もだな。
順番はダンスが先で次にレクイエムだ
今日のパーティーも楽しかったが、メインの前に少しだけviolenceを足そう」
そう言って私は笑った。

「オーライ、ダンスが先だな…珍しい。二曲だけってのもだが順番もだな」
レインはそう言いながらタイを緩め、ゴム製のナイフを抜く。

「桜咲をあまり待たせる訳にはいかんだろう。
それに…これで締めだからな、danceを後にしたらたぎって仕方ないだろう?」
「違いない」『いくぜ、マナ』
『ああ、踊ろう。レイン』
私達は『ダンス』を始めた






「ふぅ…」
溜め息を一つ。
拙者は長瀬楓と申す。
ああいうばか騒ぎは初めての体験でなかなかに愉快で御座ったが少し疲れた。
…そしていささか食べ過ぎたでござる。

入浴前に夜風にあたろうと同室の童の様な双子にことわってから寮の屋上に向かった。
…物音がする、先客がいたか。
見つからない様に窓の外を経由して屋上の物音がする場所とは逆の端に上がった。
そしてこっそり様子を伺うと…そこでは二人のクラスメイトが歌いながら戦って…いや踊っていた。
確か名を龍宮真名と長谷川千雨と言ったか。

長谷川殿の歌声は昼にも聞いたが、あれは良いものであった。

しかし…いまはまるで二匹の狼がクルクル回っている様にみえる。

二人が手練れであるのは一目見て直ぐにわかった。
しかし、いまはそれに加えて先程までは隠していた裏…いや闇の人間のにおいがプンプンする。
厳密には長谷川殿は全うな表の人間相手ならともかく、
拙者の様な裏に関わる人間にはわかるボロを数えきれないほど出していた。
それを長谷川殿の未熟ゆえの事だと思っていたがそうではなかった。

隠しきれていない本当の理由は闇が濃すぎるからでござった。
いや、隠す事に練達していないと言う意味ならば未熟で間違いない、
多少の違いもあるが今まさに同じ様に濃い闇を纏って踊っている龍宮殿は上手
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