第6話 オッサン
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たいのかはちょびっとだけ分かった。スライムって表情が変わらないけれど、怖いとか、嬉しいとか、なんとなくだけれど分かった。
ぼくもよく分からなかったけれど、そのよく分からないことをサトチーにいさんは嬉しそうに聞いてくれた。ぼくも少しだけ嬉しくなった。
「よし! それじゃあ先に進むか」
サトチーにいさんが進む。その背を追いかけながらぼくはついていく。てくてくって。
どれくらいたったのか分からないけれど、足が痛くなってきたからきっと、たくさん歩いたんだと思う。きっと外はもう暗くなっているかもしれない。だからサトチーにいさんに帰ろうって言ったのだけれど、サトチーにいさんはまだ全然1時間も経ってないって言う。そうなのだろうか。
「洞窟の中と外じゃあ感覚的に時間の進み方が違うんだろうなぁ」
「そうなの?」
「暗くてモンスターもいて、何だか疲れるだろう? いつ敵が来るかわからないから気も張っていなくちゃならない。だから外を歩いているときより疲れるんだよ」
そうなのかもしれない。洞窟の奥、暗くて見えない場所とかはやっぱり少し怖い。静かなのに、どこか遠くから聞こえてくる岩が転がるみたいな音もなんだか怖い。
ん? 何か聞こえる。
「ねえにいさん、この音なあに?」
ごごごってそんな感じの音だ。もっとずっと奥から聞こえてくる。
「あん……? 確かに何か聞こえるな。もしかして……」
そう言うとサトチーにいさんはいきなり駆け出した。ぼくは暗がりに消えてしまいそうなその背中を必死になって追いかけた。
「待ってよ〜」
「あっちだ!」
サトチーにいさんはしばらくすると立ち止まった。その眼を向ける先には大きな岩がある。音は岩から聞こえてくるみたいだ。うん、やっぱりそうだ。さっきよりもはっきり聞こえる。ごごごごって、ぐごごごって、おとうさんが寝ているときみたいな音だ……って、アレ?
「……いびき?」
「おう、リュカ。こっち回って見てみろ」
サトチーにいさんの言うとおりに回り込んでみた。そこでぼくは、びっくりして飛び跳ねてしまった。
「わひゃあっ!」
そこにはヒゲがぼうぼう生えたおじさんの顔があった。よくよく見れば、岩の下に身体が埋まっているのが分かったけれど、最初は顔だけしかないように見えてビックリしてしまった。
「おい、じいさん。起きろ!」
サトチーにいさんがヒゲのおじさんの顔をペチペチ叩く。
「んん〜? ……おお、坊や達はこんなところで何をしているんだい?」
「それはこっちのセリフだよおっさん。まるで、薬草を取りにいったけれど岩の下敷きになって身動きが取れずに疲れて眠っちまったドワーフのおっさんみたいだぞ」
「お、おお。よ、よく
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