第一幕その二
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「ちょっとね」
「ちょっとなのね」
「袴は今のところ着ないから」
「やっぱり着物なのね、恵梨香は」
「それも滅多に着ないから」
着物もだというのです。
「洋服ばかりよ」
「日本人は皆着物を着てると思ってたのに」
ナターシャはこのことは残念そうに言います、ロシアにいた頃は日本人は皆着物日本の服を着ていると思っていたのです。
ところが日本に着てみると違いました、皆洋服を着ていて驚いたのです。それで今恵梨香にも言うのです。
「違ったなんて」
「日本でも同じだから」
「服はなの」
「そうなのよ、けれど日本だけっていうものは多いみたいだから」
「そうよね、神社とかお寺とかね」
「そういうものは楽しんでね」
「わかったわ、じゃあこれから二人でね」
ナターシャは恵梨香に声をかけます。
「学園のあちこちをね」
「うん、見て回ろうね」
恵梨香もナターシャの言葉に笑顔で応えます。
「これからね」
「そうしようね」
こう二人でお話をして学園のあちこちで行われているハロウィンの仮装行列や催しを観に行くのでした、けれど。
二人にです、三人の男の子達が声をかけてきました。三人共ラフで動きやすいシャツとズボンといった格好です。
茶色の髪に黒い目で顔にはソバカスのある鼻の高い男の子がいます。ジョージ=オーウェル。アメリカから来た留学生です。
黒い髪に丸いお鼻、細い目で黒い髪です。王神宝、中国から留学に来ている初等部の生徒の一人です。
最後はカルロス=アラゴン。ブラジルから来ています。黒い縮れた髪を肩まで伸ばした黒い目の男の子です。肌は褐色です。
三人共初等部の五年生、恵梨香やナターシャと同じクラスにいます。その三人の男の子達が声をかけてきたのです。
「二人共何処に行くのかな」
「特に決めていないのなら僕達と一緒に行かない?」
「学園のあちこちを見て回ろうよ」
こう二人の女の子に声をかけてきたのです。
「二人より五人の方が面白いしね」
「三人より五人の方がね」
「だからどうかな」
「えっ、五人でなの」
恵梨香は目をしばたかせて三人の言葉に応えました。
「回るの」
「何か問題あるかな」
カルロスはとても明るい笑顔でその恵梨香に尋ねます。
「そうして」
「ううん、そう言われると」
「ないよね」
「私はね」
「私もないわよ」
ナターシャもこう答えます。
「特にね」
「じゃあいいよね」
「いいわ、けれどね」
ここでこうです、ナターシャはカルロスに言います。
「私達女の子だから」
「エスコートしろっていうんだね」
「そこまでは言わないけれど」
それではどう言うかといいますと。
「歩く速さは合わせてね」
「三人共歩くのが速いから」
恵梨香も三人にこのこ
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