最不人気使いの最強戦士
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が、このスキル自体が、あまりにも無駄であったことを痛感した。
《瞑想》スキルは、見れば見るほど微妙なスキルだった。精神集中(っぽい)ポーズが微妙にダサいことに加え、効果が微妙。本来ならばポーションや結晶などのアイテムを使わなければ不可能なHPの回復を行うことや、ポーション類でHPを回復した時に回復スピード(SAOではHPの回復に時間がかかる)や、回復量のブースト、さらには攻撃時のクリティカル率上昇から、様々なスキルの効果ブースト……一見すれば便利なように見えるが、実はこれらの度合いが非常に小さく、多少上位のアイテムを使えば補えたり、我慢できる度合だったりする。わざわざ貴重なスキルスロットを消費するまでもない。加えて、これらのポーズや効果は、厄介なことに「異常にダサい」わけでも、「全く使えない」わけでもない。性能がただひたすら『微妙』。むしろ『最悪』だったほうがまだ救いようがあった、と言われるほどの『微妙』さ。デザイナー兼開発者である茅場晶彦がお遊びで投入したスキルだとしか思えなかった。
多くのプレイヤーがこのスキルを瞬く間に捨て、新たに自分に合ったスキルを取得した。しかし、世の中には例外という者が存在する。そして、この《瞑想》スキル使いもその例にもれなかった。
俺は一体どうしたことか、この《瞑想》スキルがいたく気に入ってしまい、SAOβ終了時まで使い続けた。鬼のように硬いアインクラッド第二層の岩を破壊し、《体術》スキル獲得クエストもクリアした。俺はいわば《気功術》とでもいうべき戦闘方法をSAOβテストの間貫き通したのだ。ちなみにSAOβ時代に、アインクラッド第二層の体術マスターたる髭のNPCを発見できたのは、俺とあと一人、SAO最高の情報屋、《鼠》のアルゴだけだ。あのクエストに挑戦した時、顔に消えない墨で髭模様を描かれて散々な思いをしたのを覚えている。俺は筋力値にもステータスを振っていたので、なんとか二日から三日で岩を破壊することができたが、敏捷値極振りのアルゴは岩が破壊できず、結局クエストクリアを諦めて髭師匠の住むテーブルマウンテンを下山した。あの模様が消えなかったせいで、《鼠》というあだ名がつけられたのを知る者は少ない。
三か月のβテスト期間が終わり、11月に開始したSAO正式サービス。開発者茅場晶彦の手によって恐怖のデスゲームへと改変された、今のアインクラッドでもそれは例外ではない。俺はきちんと第二層にて《体術》を、第六層にて《瞑想》スキルを取得した。ちなみに第二層の体術マスターの所にあった岩、正式サービスでは破壊不能オブジェクト一歩手前あたりまで硬度が強化されており、以前は六時間余りのプレイを三日続けて破壊したこの岩が、二十四時間中十八時間ぶっ通しで殴り続けても割るのに三日かかったという
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