XIII
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夜、理事長と連絡は取れなかったが、俺達は上手く学校に忍び込めた。
セキュリティも切られているし、警備員の巡回もない。
美鶴の根回しのおかげだ。
「……気負うなよ裏瀬」
「別に気負ってるつもりはないさ」
体育倉庫から突入するのは俺、公子、真田、伊織の四人だ。
真田は自分の中で上手いこと折り合いをつけて、表面上は俺に対するわだかまりを消している。
消えていないのは公子と伊織、そして今は美鶴と共に居る岳羽の三人。
身から出た錆びだし弁解をするつもりはない。
「ッ! 影時間に入るぞ!!」
刹那、空間が歪み意識が遠のく。
ギリギリで踏ん張ってはみたが――――ほんの一瞬、意識が断絶される。
目を開ければ近くに居たはずの真田と伊織が消え、俺と公子の二人だけになっていた。
「こ、ここは……それに、皆は?」
戸惑いがちに俺を見る公子、二人きりと言うのは居心地が悪いらしい。
「さあな」
「…………あ、あの!」
しばしの逡巡の後に公子が口を開くが、
『……無事……か?』
ノイズ交じりの通信によって遮られてしまう。
「ああ。美鶴、状況は?」
『距離……が……く……の……サポートが……』
通信が途切れる、どうにも美鶴の能力では届かない範囲に来てしまったらしい。
風花はこんなところに長い時間居るのか。
シャドウに襲われていたら――――いや、今はそんなことを考えない方がいい。
「行くぞ」
「う、うん……」
無言のままこの階層を探索する。
"……れ? 此処に居るの?"
その最中、俺は一つの声を聞く。
隣に居る公子に視線を向けると、彼女も聞こえたらしく俺を見ていた。
「い、今女の子の声が聞こえなかった!?」
「聞こえた。これは風花だ」
どうやらアイツは俺達を把握しているらしい。
…………ああ、そうか、無事だったか。
「風花! 俺だ! お前今どこに居る!?」
頼む、応えてくれ。
後はお前を助け出せばそれで終わりなんだ。
詫びを入れなきゃならないし、言いたいことが沢山ある。
"キー……くん? わ、私は上に居る! その階層から二つ上!!"
今にも泣き出しそうな声で返答が来た。
「そうか。すぐにそっちへ行く――――待ってろ」
通路の奥からやって来て俺の前に立ち塞がるシャドウ。
生憎と今は遊んでいる暇はないのだ。
「消えろ――――カルキ」
シャドウを薙ぎ払いながら駆ける。
何か言いたげな公子だったが、後で幾らでも聞いてやるさ。
今はただ、上へ行かねばならないのだ。
「あ……よ、よう。ハムっちも無事だったか」
二階層目へ到達すると伊織と
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