XIII
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も尚森山を気遣っている。
俺なんかにゃとても真似出来そうにない。
「う、うん……」
「良かった……」
安堵の笑顔を浮かべた刹那、風花の身体がよろめく。
咄嗟に近付いて抱き留めるその胸に顔を寄せる。
「風花!?」
「……鼓動はしっかりしてる。疲労だ。そこまで取り乱すこっちゃない」
「風花……あ、あたし……!」
森山は心底から風花を気遣っている。
乱心してた時は気付かなかったが、コイツは……コイツは普通の人間だ。
影時間が終われば総てを忘れる。
けど――――もう大丈夫だと思う。
最初っから、俺が出しゃばる必要はなかったのかもしれない。
「すまん、俺は先に帰らせてもらっていいか?」
「ああ。一人で大丈夫か?」
「問題ない」
そのままエントランスを出て外へ出ると、忌々しい程に輝く月が街を照らしていた。
…………何故だろうか、満月を見ていると心がざわめく。
「ん?」
風花を抱いたまま歩き出そうとしたが、
「どうしたよ?」
背後からの視線に足を止められる。
視線の主は岳羽だった、彼女はしばしの逡巡の後に頭を下げる。
「あー……その、さ。何かごめん」
「はい?」
「裏瀬にとって山岸さんはそれだけ大切だったんだよね。だから、あんなことも平気でやった。今のアンタ、すっごく優しい顔してる」
バツが悪そうな顔で謝罪を述べる岳羽――律儀な女だ。
「変に距離取ったってか……うん、ホントごめん」
「ありゃ俺の自業自得だ。避けられるような真似をした俺の非。岳羽達は悪くねえよ」
「まあ、そうだけどさ。でも、ちゃんと謝っとかないと気分悪いし」
照れ臭そうに笑うその顔は――とても綺麗だった。
「じゃ、気を付けてね?」
「おう、サンキュ」
今度は振り返らずに歩き出す。
棺桶だらけの街を歩くのはどうにも変な気分だ。
「ん……」
学校と家の半ばほどの地点で風花が目を醒ます。
このまま眠っていてくれても良かったんだがな。
「おはよう」
「キー……くん?」
「ああ、俺だよ」
寝ぼけ眼のまま気の抜けた声を漏らす風花、その顔はどこか晴れやかだった。
「説明はさ、後日ちゃんとした場でやるだろうから今は休め」
「うん……」
腕に感じる重みが尊いものだと強く思う。
自分には手の届かないものだから余計に……
「なあ風花」
「何?」
美鶴らは風花を取り込もうとするだろう。
そうなればコイツは家から離れられると思って喜んで入部するはずだ。
けど、もしも拒否した時は――
「――――俺の家に住まないか?」
「ふえ!?」
両親には俺が話をつけてやってもいい。
何
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