XIII
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前に出る。
「ポリデュークスッッ!!」
「吹っ飛ばせカルキィ!!」
二体のペルソナがそれぞれの武器である拳と剣を用いてエンプレスを狙うが、
「庇った!? 二人共、攻撃を止めて!!」
エンプレスの盾になるようにエンペラーが立ち塞がる。
公子が叫ぶが――――もう遅い。
攻撃を途中で止められるはずもなく、ポリデュークスの拳が先に着弾する。
不思議な力場で衝撃を掻き消され、ノーダメージ。
そして俺のカルキの剣が少し遅れてヒットするのだが、
「――――は?」
予想外の事態が起こった、漏らした声は誰のものか。
カルキの剣はエンペラーの身体を抉り飛ばしたのだ。
奴が物理攻撃を無効化するという情報は確かなもので、現に真田の攻撃は散らされた。
だと言うのにカルキの攻撃は通った、これはおかしな事態だ。
当事者である俺すら一瞬戸惑ったのだ、他の連中の動きが止まるのも仕方ない。
「順平攻撃! ケルベロス、アギラオ!!」
だが、唯一公子だけは指す手を間違えなかった。
どんな理由にしろこれはチャンスなのだ、攻撃しないわけにはいかない。
「え? あー……ヘルメス、こっちもアギだ!!」
地獄の番犬と盗人の守護神から火球が放たれ、エンペラーを火達磨に。
半身を抉られ、全身を炎に包まれるその姿は――――後一押しで崩れる。
「そっ首刎ね飛ばせェ!!」
エンプレスが何かをする前にカルキに命じ、エンペラーの頸を刎ね飛ばす。
そして返す刀でエンプレスの肉体を切り裂く。
「今がチャンス! 一斉攻撃いっくよー!!」
怯んだエンプレスを見て、畳み掛けるように公子が命じる。
ペルソナ、そして俺達自身をフル活用してのタコ殴り。
巻き上がる砂塵の中で削り殺されるエンプレスには思わず同情してしまいそうになるが――
「目標沈黙、私達の勝ちです!」
勝ちは勝ち、これで万事落着だ。
その時だった。
「…………ッッ!」
――――心臓がこれ以上にないほど脈打ったのは。
何かから解き放たれたような、吊り橋の板を一枚踏み抜いてしまったよう、そんな不思議な感覚が俺を満たす。
ふと宙を見ればカルキの身体から何かが零れ落ちていた。
「……鎖?」
巻き付いていた鎖が三本ほど千切れたのだ。
これは一体――――
「敵、他に敵は……」
「大丈夫だ。もう心配はない」
風花と真田の声で、思考の渦から引き戻される。
考えたところで分からないのだから、今はひとまず置いておこう。
「風……花……あんた……」
「け、怪我はない?」
ああ――――風花は俺なんかよりよっぽど強い人間のようだ。
さっきもそうだが、今
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